奥の細道 尿前の関

鳴子温泉駅にて
  
 奥の細道湯けむりラインと名付けられた陸羽東線に乗って,鳴子温泉に泊まった。1日に10本くらいしかない路線を利用するのも久々で,飛行機にでも乗るみたいに待合室で時間を過ごした。新庄から仙台方面は山また山の中で,日の傾いた午後の景色は郷愁をそそられるものの,なんだか寂しすぎた。
翌日の朝,鳴子温泉の宿からタクシーで尿前の関跡を訪ねた。陸奥と出羽の境である関所がなぜこのような場所に設けられたのか。川の渡し場らしいが,よく分からなかった。
奥の細道の句碑のなかで代表的なものといっていい句碑
 明和5年(1768年)の翁塚。蚤虱馬の尿する枕もとの句が陰に彫られている
 翁塚と句碑両方の性格を持つタイプ。奥の細道の旅から約80年後に建立されたことになる。山寺のせみ塚なども含め,そのころすでに,このようなみちのくにも俳諧を嗜んだり,芭蕉を偲んで奥の細道をたどる人がいたと思うと,ますます芭蕉の存在の偉大さと,道楽(※)の世界の普遍性を思わざるを得ない。

※夏炉冬扇のようなものに現をぬかすことの意味で

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