地球の自転について

2005年6月6日
回転するシャボン玉表面に見られる渦のようす

 5月22日,地球惑星関連学会合同大会の特別公開セッションで「『キッチン』からみた地球惑星」という発表を見てきた。
 地学を教えることを生業としているものには結構インパクトがあった。なかでも木村龍治先生(放送大学)の「直感で地球環境を理解する」でみた小型ワイヤレスカメラを利用した地球と静止衛星模型には感銘を受けた。
 それで,早速同じワイヤレスカメラをネットで購入62,700円)し,ちょっと違うが日頃から教えるのに苦労している「地球の自転」を理解するための教具を自作してみた。(下写真)
 ほとんど使っていない教材で地軸の支持がない地球儀があったので,まずこれをなめらかに回転できるようにテレビの回転台に使われているベアリング入りの回転受けでアクリル板の台に固定し,赤道上空から静止衛星が地球を監視するのと同じように,ワイヤレスカメラの支持具(アルミのタオル掛けの一方を切断し,フランジで固定するようにした。フランジにネジを切ってあるので取り外し可能)をつけ,さらに北極に自転軸に一致する回転軸(田宮模型のミニ四駆の部品のベアリングを使用)を取りつけ,細い塩ビ板が自由に回転するようにして静止系を示すようにした。地球儀の内側の材質は薄いプラスチックなので支持ステーがさすがにたわんでしまっているが,カメラの位置はなぜか赤道延長上にくるので良し。
 カメラを取り付けて,モニター画面に映したところ(下)。
 そもそも,地球は,「自転している」と教えられているが,実感している人はいないはずである。この地球儀を回転させても,とにかく衛星画像(モニター)はピタッと止まった地球を映す(まわりが回っているが)。コレが地球上に固定された私たちの日常的な感覚を表している。そして,地球儀を回わしても,静止系を示す北極の塩ビ版は,外から見れば止まっている。しかし,モニターでみると回っているのである。そもそも動いているというのはどういうことか?ということが相対的な見方で納得してもらうえるとおもう。これが座標系を変えた見方なのだ,ということに気づいてくれれば第一段階は良いのである。
 さらに,静止系が中緯度にある場合を示すために,北緯45°につけた自由に回転する塩ビ板。地球を回すとこれは,止まっている?というより自転とは反対に回転するように見える。地球の自転を証明するフーコーの振り子の実験を分かりやすく示せると自分では思っているのだが,生徒にはここからは余計わかりにくくなっていくようだ。大気や海洋が強く感じている自転の影響を直感的に理解するのは難しい。
 中緯度の静止系の部分に,カメラを自由に取り付けられるようにした。これで,自転による天体の動き(まわりの景色の変化)もテレビでモニターして説明ができる。いずれにしても超小型ワイヤレスカメラによって,回転する地球上の人間という相対的な見方,にかなり近づけると思う。
 

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