日本経緯度原点(2004年2月)

 東京麻布台にある日本経緯度原点に行ってみた。自転車での句碑巡りにGPSを取り付けたので
緯度経度が分かる場所へ行ってみたくなったのである。
 麻布十番から狸穴(まみあな)坂を登ったが,体力的に途中で自転車を押して歩かねばならなかった。坂の上で右に曲がるとロシア大使館があり(さすがに大きい)警備の警官がものものしかったが,横をすり抜けると西向きの見晴らしが良い台地のへりに「日本経緯度原点」があった。東京タワーが間近に見える。
 地図をつくる基準として,どっかに出発点があるわけで,これが日本のそれである。正確な時刻(世界時)と地球の形と大きさが分かっていれば,天文測量によって緯度経度が求められるという原理にすぎないが,そこに厳密さを求め,はらわれる工夫とか努力が人のものであることに私なんかはロマンを感じる。GPSなどのハイテクの出現で,2002年に日本測地系から世界測地系(WGS84)へ移行したので,まさに遺跡でしかないけれど,ここが基準であることには変わりがない。
 原点数値(緯度経度)とgeko201の示す値の比較
  原点 北緯N35°39′29.1572″
  geko     35°39′29.1″

  原点 東経E139°44′28.8759″
  geko     139°44′29.1″
 写真のように原点標識より5mほど東にあるので東経が0.2″プラスにでているところまでぴったりである(東京での経度1″は約25mに相当)。自転車からはずして,原点標識の上に置けばよかった。GPSってすごい。
 高校生のとき三鷹の東京天文台を見学したことがある。天体望遠鏡より,子午環(時刻と経度を天測する器械)のほうがたくさんあった覚えがある。そのとき天文台の役割は,測量と時間(暦)の管理だと思った。
 GPS衛星には,超正確な原子時計が搭載されているそうで,gekoも正確な時刻を表示する。つまり,今やかつての天文台のそのような役割はなくなってしまったといえる。
 精度の高いGPS利用を民生向けに開放してくれたのはアメリカだが,この技術が,ミサイルなどの軍事目的で開発されたとは思いたくない。だけどアメリカってそういう国なんだよな。

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