42‐01‐0425

　

　　　　　　 長　崎　県

　

　

Ａ　４２００１

　　　　　　　　　　　　崎陽門人等合立

芭　　　蕉　　　翁　　　之 　　 塔

　　陰　　　　　芭蕉翁姓松尾氏諱宗房伊賀州之産也世爲武士事藤堂氏天姓不汲々於富不戚々貧時一旦

　　　　　　　　辭官而游于洛拾穗先生之門薙髪而自號桃��世稱芭蕉翁放浪天下如轉蓬藁不停?於涯寓

　　　　　　　　道於俳諧短歌行樂之到處或吟或帶醉而眠花或昌曉等月或漱碧泉或嘯清風酒灑風骨磊落

　　　　　　　　襟懷可謂隱偸之眞者也有東武芭蕉庵近江幻住庵無名庵伊賀新芭蕉庵咸其遺跡也然優遊

　　　　　　　　自適幾三十餘年險語破鬼膽文藻?歌仙晩年之作句益痩勁始語不易體中有一時流行變撰

　　　　　　　　集若干卷門人益多四方之企慕者往來絡繹會無虚席歿游門下執弟子禮有年蓋以吾觀翁自

　　　　　　　　有俳諧者流以來未有如翁體裁風致兼備者也盛哉翁也痛哉翁也元祿甲戌冬臥病於浪花之

　　　　　　　　濱遂革而不起及於十月十二日卒焉呼痛哉茲歳?屈六回之辰崎陽門人某等哀慕之餘俳諧

　　　　　　　　百韻及句若干用痙於一瀬之土積書其事于石始崎之好俳諧者習於舊染不諳吾風之雅正豈

　　　　　　　　俳諧而雅正者哉吁吾翁刀扶俳綱諧領不墮於邪而遂趣於正是天下之所共曉非吾一人之私

　　　　　　　　言也翁之門人去來子滯崎年餘專演風教自然歸嚮而宗之津々然無不扶風批月整容改觀願

　　　　　　　　欲爲之執鞭而舊染一?新至然而去來子已歸洛歿何又爲客於崎而遇斯囘也吾□失□以迷

　　　　　　　　事實固陋之辭爲遂記其□□以代碑文

　　　　　　　　　　　　　元祿十貳歳次己卯十月十二日

　　　　　　　　　　　　　　　東武門人　藤野坡謹撰

　　　　　　　　　　　　　　　崎陽門人　林陀方拜書

　　台石　　　　これはせを翁の句碑はいにし元祿十二年卯のとし門人野坡の

　　　　　　　　撰文にして林陀方の書なりしか星霜久しくして雨露に蝕せ

　　　　　　　　られ苔にそこなはれて文字さえ定かならさりしを今とし翁の

　　　　　　　　二百年祭を此の淨刹に營みしより同志の人々相謀りて新に

　　　　　　　　舊碑の下に礎を設け添へ各自の句をさへゑりつけて永く此の

　　　　　　　　道の記とはなしぬ

　　　　　　　　　　　　　明治二十六年六月初め四日

　

　　　　　　　　　　�@　元禄十二年（一六九九）十月十二日七回忌

　　　　　　　　　　�A　野坡の撰文を得て崎陽門人建立

　　　　　　　　　　�B　林陀方筆

　　　　　　　　　　�C　長崎市夫婦川町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　臨済宗春徳寺

　　　　　　　　　　�D　明治二十六年（一八九三）六月四日二百回忌に台石を新たにして修造

　　　　　　　　　　　　野坡＝前出P.0358

　

Ａ　４２００２

　　右側面　　　芭蕉翁姓松尾氏本名其質伊賀則人也世篇

　　　　　　　　武士事藤堂氏天□間雅學扶山水花旦　亥西普宮

　　　　　　　　入洛之拾穗先生之門而薙髪自號諧者自爾

　　　　　　　　芒并竹杖□渭衲衣座右者雲?花咏月横行

　　正面　　　　天下如轉蓮浮萍者三十餘矣當時天下俳風

　　　　　　　　□之一變驗人室客莫不景隨響應也初崎之

　　　　　　　　吁俳者是舊習而不知翁之雅正適翁之高弟

　　　　　　　　來竿來崎往年餘主長門風於是我失先生去

　　左側面　　　宇着子音香伏歸假而列于翁門爲巨藝□崎

　　　　　　　　之俳之有親有矩而至舎弟□者孝有失生地

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　42‐02‐0426

　　　　　　　　歸時弟子元祿甲戌孟冬十二日茲餘茲矣央淳

　　　　　　　　五十年矣哀泰之餘意欲園□而失生亦〓則

　　陰　　　　　正盟誰也所様異我紗鹿等不觀不肖恭湎蒼

　　　　　　　　越以記年月區區孝思承未將去

　　　　　　　　　　　　　寛保三年癸亥十月

　

　　　　　　　　　　�@　寛保三年（一七四三）十月五十回忌

　　　　　　　　　　�A　紗鹿建立

　　　　　　　　　　�C　長崎市夫婦川町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　臨済宗春徳寺

　

Ｆ　４２００３

宿　か　し　て　名　を　な　の　ら　す　る　し　く　れ　か　な 　翁

　　左　　　　　山裏は迷ひ子かへせ郭公　宇鹿

　　右　　　　　名月や西やひかしに行烏　沙鹿

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦十四年（一七六四）

　　　　　　　　　　�A　西田宇鹿建立

　　　　　　　　　　�C　長崎市夫婦川町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　臨済宗春徳寺

　　　　　　　　　　�D　はじめ春徳寺の末寺雲龍寺に建立　安政年間に移す

　

Ｆ　４２００４

め　に　か　ゝ　る　雲　や　し　は　し　の　わ　た　り　鳥 　翁

　　左　　　　　故さとも今はかり寢や渡とり　落柿舎

　　右　　　　　文化十とせ夏みな月蕉門の徒弟こころを

　　　　　　　　合せて建けるよしを〓木しるす

　

　　　　　　　　　　�@　文化十年（一八一三）六月

　　　　　　　　　　�A　祥木建立

　　　　　　　　　　�B　祥木筆

　　　　　　　　　　�C　長崎市芒塚町　　　　　　　　　　　一ノ瀬旧道日見峠登り口梨の木茶屋跡

　

Ｊ　４２００５

し　は　ら　く　は　花　の　上　な　る　月　夜　か　な 　翁

初　さ　く　ら　世　に　僞　り　の　道　も　な　し　 　　祥木

　　陰　　　　　文政七甲申三月中川基映　志賀省夫

　　　　　　　　　　　　　　　桑村對笠　平田有隣

　

　　　　　　　　　　�@　文政七年（一八二四）三月

　　　　　　　　　　�A　中川基映　志賀省夫　桑村對笠　平田有隣建立

　　　　　　　　　　�C　長崎市鍛冶屋町八‐四三　　　　　　　　　　　　　　清水寺（清水観音）

　

Ｊ　４２００６

春　も　や　ゝ　け　し　き　と　ゝ　の　ふ　月　と　梅 　はせを

　　　　　　　　　　　　　芭蕉行脚像線刻

う　か　〓　〓　と　旅　の　日　數　や　麥　黄　ば　む 　　月斗

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十年（一九五五）

　　　　　　　　　　�A　犬塚皆春建立

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　42‐03‐0427

　　　　　　　　　　�B　芭蕉行脚像　蕪村画

　　　　　　　　　　�C　佐世保市福町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　犬塚皆春氏宅

　

Ｆ　４２００７

も　ろ　こ　し　の　俳　諧　と　は　ん　飛　胡　蝶 　芭蕉

　　台石　　　　文政七甲申〓十月十二日建之

　　　　　　　　　　羅良月申菊人

　

　　　　　　　　　　�@　文政七年（一八二四）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　羅良　月申　菊人建立

　　　　　　　　　　�C　佐世保市早岐町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　早岐神社

　

Ｆ　４２００８

山　里　は　萬　歳　遲　し　梅　の　花

　

　　　　　　　　　　�C　佐世保市三川内町六八五　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　普門院

　　　　　　　　　　�D　境内にころがっていたものを昭和三十三年（一九五八）四月修造

　

Ｃ　４２００９

　　　　三珠井起雪

　　　　 翠菴輝白

雲おり〓〓人を休る月見哉

芭　　　蕉　　　翁

　　維?天明丁未桂月十有二日

　　　　　　　 尚藻亭紅良

　　　　　　　　沒香亭文塘立

　

　　　　　　　　　　�@　天明七年（一七八七）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　尚藻亭紅良　沒香亭文塘建立

　　　　　　　　　　�C　諌早市城見町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　浄土宗常楽山慶巌寺

　

Ｃ　４２０１０

芭　　　蕉　　　翁

初時雨猿も小蓑をほしけなり

　　　　文化十年癸酉時雨月吉日

　　　　　　　　洞雲齋孤石敬立

　

　　　　　　　　　　�@　文化十年（一八一三）十月

　　　　　　　　　　�A　洞雲齋孤石建立

　　　　　　　　　　�C　諌早市小野　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金比羅岳山頂性円寺址

　

Ａ　４２０１１

☆消滅

芭　　　蕉　　　翁　　　之　　　冢

　

　　　　　　　　　　�@　嘉永七年（一八五四）十月

　　　　　　　　　　�A　圓成院當山現住興傳建立

　　　　　　　　　　�C　大村市武部町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長安寺

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　42‐04‐0428

Ａ　４２０１２

芭　　　蕉　　　翁　　　之　　　冢

　　左　　　　　明治二十二年五月再建發起當山現住仁阿今里止行書

　　右　　　　　嘉永七甲寅十月圓成院當山現住興傳

　　陰　　　　　槐窓悠々白龍山露梢一貫島米呉建立

　

　　　　　　　　　　�@　明治二十二年（一八八九）五月

　　　　　　　　　　�A　槐窓悠々　白龍山露梢　一貫島米呉建立

　　　　　　　　　　�B　仁阿今里止行筆

　　　　　　　　　　�C　大村市武部町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　長安寺

　

Ｃ　４２０１３

御命講やあふらのやうなさけ五升

芭　　　蕉　　　翁

　

　　　　　　　　　　�C　平戸市鏡川　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞雲寺

　

Ｆ　４２０１４

華　さ　か　り　山　は　日　頃　の　朝　ほ　ら　け 　はせを

　　陰　　　　　明治二己巳仲秋日

　

　　　　　　　　　　�@　明治二年（一八六九）八月

　　　　　　　　　　�C　東彼杵郡東彼杵町波止場　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八坂神社

　

Ｆ　４２０１５

鸛　の　巣　も　み　ら　る　る　花　の　葉　越　か　な 　芭蕉翁

　　陰　　　　　供養導師龜井山十二世權大僧都法印寛龍

　　　　　　　　寛政八年丙辰夜雨月

　　　　　　　　發起主連香舎利祐

　　　　　　　　四浦連衆淳水樓桂川

　

　　　　　　　　　　�@　寛政八年（一七九六）

　　　　　　　　　　�A　連香舎利祐建立

　　　　　　　　　　�C　東彼杵郡波佐見町平瀬　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東前寺

　

Ｆ　４２０１６

さ　さ　波　や　風　の　か　お　り　の　相　拍　子 　翁

　

　　　　　　　　　　�A　除笛建立

　　　　　　　　　　�C　北高来郡高来町深海　　　　　　　　　　　　　　　　　　　塩屋崎観音堂

　

Ｃ　４２０１７

芭　　　蕉　　　翁

觀音のいらかみやりつ花の雲

　　左　　　　　文化十三子晩春仲二日劍瀬野出

　

　　　　　　　　　　�@　文化十三年（一八一六）三月十二日

　　　　　　　　　　�A　劍瀬野出建立

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　42‐05‐0429

　　　　　　　　　　�C　北高来郡小長井町長里　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大久保観音

　

Ｂ　４２０１８

芭　　　蕉　　　翁

　　陰　　　　　浪の間や小貝にまちる荻の聲

　　左　　　　　維時文化十三歳丙子季月

　

　　　　　　　　　　�@　文化十三年（一八一六）

　　　　　　　　　　�A　佐藤春喬建立

　　　　　　　　　　�C　南高来郡国見町神代長浜　　　　　　　　　　　　　　　　　　金比羅神社

　

Ｃ　４２０１９

芭　　　蕉　　　翁

雲雀より上にやすらふ峠かな

　　台石陰　　　明和七年庚寅三月建立

　

　　　　　　　　　　�@　明和七年（一七七〇）三月

　　　　　　　　　　�A　小浜五芳　百磨連中建立

　　　　　　　　　　�C　南高来郡小浜町雲仙　　　　　　　　　　　　　　　　　　一乗院墓地入口

　

Ｆ　４２０２０

い　さ　ゆ　か　む　雪　み　に　こ　ろ　ふ　と　こ　ろ　ま　て 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@ 文化年間＝文化十四年（一八一七）推定

　　　　　　　　　　�B　真蹟

　　　　　　　　　　�C　北松浦郡佐々町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朏　博四郎氏宅

　　　　　　　　　　�D　もと平戸藩主松浦公の茶室にあったもの　この松浦公が静山公であったとす

　　　　　　　　　　　　れば　没年が天保十二年（一八四一）六月二十九日　八十二歳なので　建立

　　　　　　　　　　　　を文化年間と推定

　

Ｆ　４２０２１

先　す　頼　む　椎　の　木　も　あ　り　夏　木　立 　はせを

　

　　　　　　　　　　�C　北松浦郡佐々町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大浦義夫氏宅

　

Ｆ　４２０２２

梅　か　香　に　の　つ　と　日　の　出　る　山　路　か　な

　

　　　　　　　　　　�@　天保十四年（一八四三）百五十回忌

　　　　　　　　　　�C　南松浦郡富江町宮下　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　富江神社

　

Ｆ　４２０２３

今　ふ　は　か　り　人　も　年　よ　れ　初　し　く　れ 　芭蕉

　　陰　　　　　文政十亥暦初冬

　

　　　　　　　　　　�@　文政十年（一八二七）十月

　　　　　　　　　　�A　鳥悦　甫雪建立

　　　　　　　　　　�C　壱岐郡郷ノ浦町郷ノ浦　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　専念寺

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　42‐06‐0430

Ｆ　４２０２４

名　月　や　池　を　め　く　り　て　夜　終 　芭蕉

　

　　　　　　　　　　�A　悟山　素白建立

　　　　　　　　　　�C　壱岐郡芦辺町瀬戸浦　　　　　　　　　　　　　　永江寺趾（瀬戸幼稚園）

　

Ｆ　４２０２５

古　池　や　蛙　飛　込　水　の　音 　はせを

　　陰　　　　　明治廿四年晩夏光度書

　　　　　　　　設立者吉木鶴遊早瀬生竹篠崎月靜

　

　　　　　　　　　　�@　明治二十四年（一八九一）六月

　　　　　　　　　　�A　吉木鶴遊　早瀬生竹　篠崎月靜

　　　　　　　　　　�B　光度筆

　　　　　　　　　　�C　壱岐郡芦辺町芦辺　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天徳寺