24‐01‐0322

　

　　　　　　 三　重　県

　

　

Ａ　２４００１

芭　　　蕉　　　翁　　　文　　　塚

　　陰　　　　　元祿七甲戌十月十二日示寂

　　　　　　　　享壽五十有二葬于江州粟津義仲寺

　　　　　　　　于時元文二丁巳仲夏下旬建之

　

　　　　　　　　　　�@　元文二年（一七三七）五月

　　　　　　　　　　�A　二日坊菊地宗雨建立

　　　　　　　　　　�C　津市栄町一丁目　　　　　　　　　　　　　　　　　曹洞宗塔世山四天王寺

　

Ａ　２４００２

芭　　　蕉　　　翁　　　古　　　歌　　　塚

　　陰　　　　　寛政十戊午十月十二日

　

　　　　　　　　　　�@　寛政十年（一七九八）十月十二日

　　　　　　　　　　�C　津市分部櫛形　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　薬師寺

　

Ｆ　２４００３

☆誤伝

阿漕塚（横書）

月　の　夜　の　何　を　阿　古　木　に　鳴　千　鳥　 芭蕉翁

　　陰　　　　　此地大樂山上宮寺舊跡也／碑面東都雪中菴完來所書／

　　　　　　　　文化十三丙子仲春／安濃津阿漕庵雁路建之

　

　　　　　　　　　　�@　文化十三年（一八一六）二月

　　　　　　　　　　�A　安濃津阿漕庵村田雁路建立

　　　　　　　　　　�B　雪中庵完來筆

　　　　　　　　　　�C　津市柳山津興平治町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　阿漕海岸

　　　　　　　　　　�D 完來＝前出P.0144

　

Ｃ　２４００４

　　　　　元祿八乙亥三月十四日

　　　 宗　　　仲　　　信　　　士 　蓬莱子

釋　　　 前　七戌年十月十二日　　　　　　 靈　位

　　　 松　　　尾　　　桃　　　��　　　翁

　　　蓬　莱　に　き　か　ハ　や　い　せ　の　初　便

　　陰　　　　　辻孝篤移之

　

　　　　　　　　　　�C　津市大門町　　　　　　　　　　　　　　津観音真言宗醍醐派蓬莱山大宝院

　　　　　　　　　　�D　元祿八年三月十四日は宗仲信士の忌日である　若し供養碑ならば建立年月日

　　　　　　　　　　　　は確定できない また元祿八年（一六九五）に発句が刻まれる筈がない　ま

　　　　　　　　　　　　た松尾の姓を刻んだ翁塚は一基もない 従って　建立年月日は不明である

　　　　　　　　　　　　現在裏庭に放置されている

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

Ｆ　２４００５

蓬　莱　に　き　か　は　や　伊　勢　の　初　た　よ　り 　芭蕉庵桃��

　　右　　　　　元祿八乙亥三月十四日蓬莱子建之

　　左　　　　　蓬莱子建る所の碑破損せるにより

　　　　　　　　明治二十九年秋改建又樂斎孝篤

　

　　　　　　　　　　�@　明治二十九年（一八九六）秋

　　　　　　　　　　�A　又樂斎孝篤建立

　　　　　　　　　　�C　津市大門町　　　　　　　　　　　　　　津観音真言宗醍醐派蓬莱山大宝院

　　　　　　　　　　�D　元祿八年三月十四日を蓬莱子の忌日と読まず　建立年月日と読んだところに

　　　　　　　　　　　　又樂斎孝篤の誤読がある　また蓬莱子なる俳人の存在も確定できない　初め

　　　　　　　　　　　　隣の国府の阿弥陀堂にあった

　

Ｆ　２４００６

眉　掃　を　お　も　か　け　に　し　て　紅　粉　の　花 　芭蕉

　　陰　　　　　春江建之

　

　　　　　　　　　　�A　春江建立

　　　　　　　　　　�C　津市渋見町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鈴木信也氏宅

　

Ｆ　２４００７

け　ふ　は　か　り　人　も　と　し　よ　れ　は　つ　し　く　れ 　はせを

　

　　　　　　　　　　�C　四日市市北町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　曹洞宗建福寺

　

Ｆ　２４００８

歩　行　な　ら　は　杖　つ　き　坂　を　落　馬　か　な 　芭蕉翁

　　右　　　　　寶暦六丙子秋八月之吉

　　　　　　　　花に雪にこゝろを杖のみちしるへ

　　　　　　　　白梵菴門人村田〓州誌

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦六年（一七五六）八月

　　　　　　　　　　�A　村田〓州建立

　　　　　　　　　　�B　村田〓州筆

　　　　　　　　　　�C　四日市市采女町一九六三　　　　斎藤氏宅（旧東海道杖衝坂の標柱の坂下）

　

Ｆ　２４００９

三　日　月　の　地　は　お　ほ　ろ　な　る　雪　見　草 　はせを

　

　　　　　　　　　　�C　四日市市垂坂町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天台宗観音寺

　

Ｆ　２４０１０

藪　つ　は　き　門　は　む　く　ら　の　若　葉　か　な

　　右　　　　　漢文銘（略）

　　　　　　　　芭蕉庵桃��翁碑／芻舜邦光弼撰

　

　　　　　　　　　　�@　文化十二年（一八一五）七月

　　　　　　　　　　�A　船江町　春湖　東籬　湛水　鷺川建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市船江町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　瑞泉院

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐03‐0324

　　　　　　　　　　�D　船江町の大江寺が廃寺になり現在地に移建

　

Ｆ　２４０１１

何　の　木　の　花　と　は　し　ら　す　に　ほ　ひ　か　な

　

　　　　　　　　　　�@　明治十四年（一八八一）

　　　　　　　　　　�A　東京一連社託生建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市岡本町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　神宮霊祭講社

　

Ｆ　２４０１２

門　に　入　れ　は　蘇　鐵　に　蘭　の　に　ほ　ひ　哉 　芭蕉翁

　

　　　　　　　　　　�@　寛政五年（一七九三）十月

　　　　　　　　　　�A　夜雨亭松貴二曲　飯田魯然建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市浦口町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　法傳院

　

Ｆ　２４０１３

☆神奈川県に移動

み　ち　の　へ　の　む　く　け　は　馬　に　く　は　れ　け　り 　芭蕉塚

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦四年（一七五四）

　　　　　　　　　　�A　温故　雁路　和鈴建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市世古町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　浜地文平氏宅

　　　　　　　　　　�D　はじめ西行谷にあったもの　現在神奈川の故河野一郎氏宅へ移す

　

Ｆ　２４０１４

秋　の　風　い　せ　の　墓　は　ら　な　ほ　凄　し 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@　寛政十三年（一八〇一）

　　　　　　　　　　�A　不除軒佐藤幹員建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市一ノ木町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　常明寺

　

Ｆ　２４０１５

☆行方不明

芋　洗　ふ　女　西　行　な　ら　は　歌　よ　ま　む 　はせを

　　陰　　　　　皇紀二千六百年春／泗港村山清八建／對石書

　

　　　　　　　　　　�@　昭和十五年（一九四〇）五月一日

　　　　　　　　　　�A　泗港村山清八建立

　　　　　　　　　　�B　出口對石筆

　　　　　　　　　　�C　伊勢市館　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西行谷

　　　　　　　　　　�D　大阪方面に流れたらしい　出口對石＝『芭蕉塚』の著者

　

Ｆ　２４０１６

〓　垣　や　お　も　ひ　も　か　け　す　ね　は　ん　像 　はせを翁

　

　　　　　　　　　　�@　天明七年（一七八七）二月

　　　　　　　　　　�A　笹丘高外　阪口不及　世古似蓉　岩出禾石建立

　　　　　　　　　　�C　伊勢市朝熊町　　　　臨済宗南禅寺派勝峰山兜率院金剛証寺奥の院への坂路

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐04‐0325

Ｆ　２４０１７

☆行方不明

此　山　の　か　な　し　さ　告　よ　野　老　堀

　

　　　　　　　　　　�C　伊勢市中村町菩提山　　　　　　　　　　　　　　　　　　菩提山神宮寺跡

　

Ａ　２４０１８

芭　蕉　翁　桃　��　居　士

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦三年（一七五三）冬

　　　　　　　　　　�A　梅輦連中建立

　　　　　　　　　　�C　松阪市愛宕町　　　　　　　　　　　　　　　　松阪天神境内梅松山菅相寺

　

Ｆ　２４０１９

春　も　や　ゝ　け　色　と　ゝ　の　ふ　月　と　梅 　芭蕉

　　陰　　　　　元治元年甲子春三月建

　

　　　　　　　　　　�@　元治元年（一八六四）三月

　　　　　　　　　　�A　吉井政治郎　井田藤次郎建立

　　　　　　　　　　�C　松阪市愛宕町　　　　　　　　　　　　　　　　松阪天神境内梅松山菅相寺

　

Ｂ　２４０２０

☆五輪塔　空風火水地とあって地の四角の面

　　正面　　　　地

　　左　　　　　たはみてはゆきまつ竹のけしきかな　はせを

　　陰　　　　　翁終焉元祿甲戌年

　　　　　　　　也〓今寛政癸丑星

　　　　　　　　霜百年是歳冬十月

　　　　　　　　十二日歿會其回忌

　　　　　　　　廼掲〓中某者所家

　　　　　　　　藏之眞蹟特待雪一

　　　　　　　　句〓之石面永欽遺

　　　　　　　　芳

　　　　　　　　一葉菴容興亭同社

　　右　　　　　初雁や芦火に背く海人か顏　　一葉菴鳥醉

　　　　　　　　行秋や拭ひ柱におのか影　　　二世呉扇

　　　　　　　　保つ〓〓と夏爐になしぬ　　　三世滄波　炭俵

　

　　　　　　　　　　�@　寛政五年（一七九三）百回忌

　　　　　　　　　　�A　一葉庵容興亭両社中建立

　　　　　　　　　　�C　松阪市白粉町　　　　　　　　　　　　　天台真盛宗教主山無量寿院来迎寺

　　　　　　　　　　�D　五輪塔による供養碑　「芭蕉翁」となくとも「翁塚」とすべきである

　　　　　　　　　　　　鳥醉＝前出P.0069

　

Ｆ　２４０２１

梅　か　香　に　の　つ　と　日　の　出　る　山　路　哉 　芭蕉

　

　　　　　　　　　　�C　松阪市船江町　　　　　　　　　　　　　　　天台宗利生山瑠璃光院薬師寺

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐05‐0326

Ｆ　２４０２２

今　日　斗　り　人　も　年　よ　れ　初　時　雨 　芭蕉翁

　

　　　　　　　　　　�@　大正十二年（一九二三）十一月十二日

　　　　　　　　　　�A　間遠社建立

　　　　　　　　　　�B　一味庵筆

　　　　　　　　　　�C　桑名市東鍋屋町　　　　　　　　　　　　　西山浄土宗御影山田中坊本願寺

　

Ｆ　２４０２３

闇　の　夜　や　巣　を　ま　と　は　し　て　鳴　ち　と　り 　はせを

　　陰　　　　　寛政五龍集癸丑冬十月十二日

　　　　　　　　芭蕉翁歿後當百年辟兒房敬寫

　

　　　　　　　　　　�@　寛政五年（一七九三）十月十二日百回忌

　　　　　　　　　　�A　文桃子貴楊建立

　　　　　　　　　　�B　辟兒房筆

　　　　　　　　　　�C　桑名市地蔵　　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗龍宮山龍福寺浜地蔵

　　　　　　　　　　�D　昭和三十四年（一九五九）九月二十六日伊勢湾台風により流失　その後発見

　

Ｆ　２４０２４

曙　や　し　ら　魚　白　き　こ　と　一　寸 　芭蕉桃��

　　陰　　　　　地蔵堂の什寶は雪薄しとあり笈日記に後

　　　　　　　　に曙やと聞えしとありはた此地に御再按

　　　　　　　　の遺墨傳はれてかくなむ筆を染るものは

　　　　　　　　　　明治丗六癸卯年九月吉辰千秋庵敬書

　

　　　　　　　　　　�@　明治三十六年（一九〇三）九月

　　　　　　　　　　�A　桑名間遠社時雨庵也翁建立

　　　　　　　　　　�B　千秋庵筆

　　　　　　　　　　�C　桑名市地蔵　　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗龍宮山龍福寺浜地蔵

　　　　　　　　　　�D　昭和三十四年（一九五九）九月二十六日伊勢湾台風により流失　その後発見

　

Ｊ　２４０２５

雪　薄　し　白　魚　し　ろ　き　事　一　寸 　芭蕉翁

白　う　を　に　身　を　驚　く　な　若　翁 　　木因

　　陰　　　　　芭蕉翁野さらし紀行の旅の折木因と共に

　　　　　　　　この地藏堂に書き殘したと傳える初案白魚

　　　　　　　　の句及ひ木因の句をここに創建する

　　　　　　　　　　昭和三十九年二月吉辰建設大臣河野一郎

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十九年（一九六四）二月

　　　　　　　　　　�A　河野一郎建立

　　　　　　　　　　�C　桑名市地蔵　　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗龍宮山龍福寺浜地蔵

　

Ｆ　２４０２６

明　ほ　の　や　し　ら　魚　白　き　事　一　寸 　芭蕉桃��

　　陰　　　　　伊勢湾台風の際流没不明となった

　　　　　　　　ので旧碑にならって再建する

　　　　　　　　　　昭和三十九年二月建設大臣河野一郎

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐06‐0327

　　　　　　　　　　�@　昭和三十九年（一九六四）二月

　　　　　　　　　　�A　河野一郎建立

　　　　　　　　　　�B　桑名宗社所蔵真蹟短冊を十倍に拡大

　　　　　　　　　　�C　桑名市地蔵　　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗龍宮山龍福寺浜地蔵

　　　　　　　　　　�D 桑名宗社＝式内社桑名神社（三崎明神）と式内社（春日明神）とを併祀

　

Ｆ　２４０２７

☆消滅

冬　牡　丹　千　鳥　よ　雪　の　ほ　と　ゝ　き　す

　

　　　　　　　　　　�@ 延享年間＝延享四年（一七四四）推定

　　　　　　　　　　�A　雲裡坊杉夫建立

　　　　　　　　　　�C　桑名市北寺町　　　　　　　　　　　　真宗大谷派東本願寺桑名別院本統寺

　　　　　　　　　　�D　雲裡坊杉夫＝前出P.0015　杉夫は近くの東鍋屋町の西山浄土宗御影山田中坊

　　　　　　　　　　　　本願寺に住していた

　

Ｆ　２４０２８

冬　牡　丹　千　鳥　よ　雪　の　ほ　と　ゝ　き　す

　

　　　　　　　　　　�@　昭和十二年（一九三七）四月

　　　　　　　　　　�A　小林雨月建立

　　　　　　　　　　�B　野田要吉別天楼筆

　　　　　　　　　　�C　桑名市北寺町　　　　　　　　　　　　真宗大谷派東本願寺桑名別院本統寺

　

Ｅ　２４０２９

史跡　 芭　蕉　翁　誕　生　の　地

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十八年（一九六三）

　　　　　　　　　　�C　上野市赤坂町三〇四　　　　　　　　　　　　　　　芭蕉生家跡釣月軒入口

　

Ｆ　２４０３０

古　里　や　臍　の　を　に　泣　く　と　し　の　く　れ

　　陰　　　　　本句碑の句は芭蕉翁記念館所蔵の翁の

　　　　　　　　真蹟を拡大転写したものであります

　　　　　　　　この軸には翁の弟子杉山杉風が書いた

　　　　　　　　「芭蕉翁筆」と言ふ極めがありまこと

　　　　　　　　に貴重なものであります

　　　　　　　　たま〓〓翁の二百七十年忌を記念して

　　　　　　　　旧田中荘保存会の寄附によってこゝに

　　　　　　　　句碑を建立しました

　　　　　　　　　　　昭和三十八年十月十二日

　　　　　　　　　　　　　財団法人芭蕉翁顕彰会長

　　　　　　　　　　　　　　　三重県上野市長豊岡益人

　　　　　　　　　　　　　財団法人芭蕉翁顕彰会

　　　　　　　　　　　　　　　　専務理事桃井隆康謹書

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十八年（一九六三）十月十二日二百七十回忌

　　　　　　　　　　�A　芭蕉翁顕彰会建立

　　　　　　　　　　�B　真蹟

　　　　　　　　　　�C　上野市赤坂町三〇四　　　　　　　　　　　　　　　芭蕉生家跡釣月軒入口

　

Ｉ　２４０３１

　　　　　　　　探丸子のきみ別墅の

　　　　　　　　花みもよほさせ給ひけるに

　　　　　　　　むかしのあとをさなからにて

さ　ま　〓　〓　の　事　お　も　ひ　出　す　櫻　か　な 　桃��

　　　　 春　の　日　は　や　く　筆　に　暮　行 　　　　探丸子

　　　　　　　　　　貞享五年春

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五年（一九三〇）

　　　　　　　　　　�A　当時の所有者浜辺喜兵衛守正建立

　　　　　　　　　　�B　真蹟

　　　　　　　　　　�C　上野市玄蕃町　　　　　　　　　　　　　　　　さまざま園跡稲毛克巳氏宅

　

Ｅ　２４０３２

芭　　　蕉　　　翁　　　故　　　郷　　　塚

　

　　　　　　　　　　�@　大正十一年（一九二二）二月

　　　　　　　　　　�B　明治の書家巖谷一六翁筆

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院門前

　

Ｅ　２４０３３

は　　　せ　　　を　　　故　　　郷　　　塚

　　陰　　　　　長月庵若翁

　　左　　　　　半丁

　　右　　　　　愛染院

　

　　　　　　　　　　�@　文化二年（一八〇五）

　　　　　　　　　　�A　長月庵若翁建立

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　　　　　　　　　　�D　農人町の三叉路にあった道しるべ　昭和四十七年（一九七二）五月十五日に

　　　　　　　　　　　　愛染院境内再形庵の脇に移す

　

Ａ　２４０３４

　　　　　　　　　　　　元祿七甲戌年

芭　　　蕉　　　桃　　　〓　　　法　　　師

　　　　　　　　　　　　十月　十二日

　

　　　　　　　　　　�@　元禄七年（一六九四）十一月

　　　　　　　　　　�B　服部嵐雪筆

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　　　　　　　　　　�D　「芭」の字の上に梵字「ア」あり

　

Ｅ　２４０３５

元祿七年十月芭蕉翁浪花の客舎逝く遺

骸は粟津義仲寺に葬りしも郷里の門人

土芳卓袋等翁の〓を慕ひて遺髪を菩提

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐08‐0329

所たる伊賀上野愛染院内に埋め一基の

碑石を建て芭蕉翁故郷塚と稱へる此由

來を汎く世に知らしめんとこゝに碑石

を建て翁の遺〓を共に永遠に傳へんとす

因て故郷塚保存會諸氏等の請に應じ其

願ひを誌すと云爾

　　　　　　　鳴雪内藤素行

　　陰　　　　　大正十三年十月十二日建之

　　　　　　　　　　　芭蕉翁故郷塚保存會

　　　　　　　　　　　愛染院住職岡森榮眞

　

　　　　　　　　　　�@　大正十三年（一九二四）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　芭蕉翁故郷塚保存會愛染院住職岡森榮眞建立

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　

Ａ　２４０３６

芭蕉翁二百五拾年忌大法會記念

偲　　　翁　　　碑

　　　　　　　　　　　蟻〓會

　　陰　　　　　大法要を營みて

　　　　　　　　この道に生きて時雨るゝ一日かな　紅果

　

　　　　　　　　　　�@　昭和十八年（一九四三）十一月二百五十回忌

　　　　　　　　　　�A　蟻〓會建立

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　

Ｆ　２４０３７

家　は　み　な　杖　に　し　ら　髪　の　墓　參　り 　芭蕉

　　陰　　　　　蕉跡探訪の記念として

　　　　　　　　この碑を翁の靈に捧ぐ

　　　　　　　　　昭和三十九年五月　天津二　小夜

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十九年（一九六四）五月

　　　　　　　　　　�A　飯野哲二　若生小夜建立

　　　　　　　　　　�B　飯野哲二筆

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　　　　　　　　　　�D　若生小夜＝落柿舎十二代庵主

　

Ｆ　２４０３８

數　な　ら　ぬ　身　と　な　お　も　ひ　そ　玉　祭　り 　はせを

　　陰　　　　　爲壽貞尼追善供養

　　　　　　　　昭和四十六年十月十二日　小夜書

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十六年（一九七一）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　飯野哲二建立

　　　　　　　　　　�B　若生小夜筆

　　　　　　　　　　�C　上野市農人町　　　　　　　　　　　　　　　　　新義真言宗豊山派愛染院

　

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐09‐0330

Ｅ　２４０３９

史跡　 貝　お　ほ　ひ　奉　納　の　社

　　　　　　　　　　　　　山口誓子謹書

　

　　左　　　　　昭和四十八年四月吉日中町沖森直三郎建立

　　右　　　　　昭和四十七年四月二十七日指定

　　陰　　　　　上野市教育委員会

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十八年（一九七三）四月

　　　　　　　　　　�A　沖森直三郎建立

　　　　　　　　　　�B　山口誓子筆

　　　　　　　　　　�C　上野市東町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　菅原神社入口

　

Ｆ　２４０４０

　　　　菅社のほとり薬師寺の会に

初　さ　く　ら　折　し　も　け　ふ　は　よ　き　日　な　り 　芭蕉

　　陰　　　　　明治百年記念菅原神社奉賛会

　　　　　　　　　　八十五歳杉森干柿謹書

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十四年（一九六九）四月二十五日

　　　　　　　　　　�A　菅原神社奉賛会建立

　　　　　　　　　　�B　杉森干柿筆

　　　　　　　　　　�C　上野市東町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　菅原神社

　

Ｇ　２４０４１

この句碑には

　　　伊陽山中初春

やまざとはまんざい遅し梅の花　芭蕉

と書かれてある　これは翁の真筆を拡大

して市制２０周年記念に特志家の寄付に

よって建てられたこの句は元禄４年１月

藤堂長定亭に翁が伺候した時の吟である

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十二年（一九六七）九月十日

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白鳳公園東入口

　

Ｆ　２４０４２

　　　　　　伊陽山中初春

や　ま　さ　と　は　ま　ん　さ　い　遲　し　梅　の　花 　はせを

　　陰　　　　　昭和四十二年九月十日

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十二年（一九六七）九月十日

　　　　　　　　　　�A　芭蕉翁顕彰会建立

　　　　　　　　　　�B　真蹟

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白鳳公園東入口

　

Ｆ　２４０４３

草　い　ろ　〓　〓　お　の　〓　〓　花　の　手　柄　か　な

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐10‐0331

　　　　　　　　　　�@　昭和六十年（一九八五）

　　　　　　　　　　�B　中曽根康弘筆

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内四〇　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上野市立図書館

　　　　　　　　　　�D　昭和五十八年（一九八三）来日のレーガン元米大統領のスピーチに引用され

　　　　　　　　　　　　た句を刻む

　

Ｌ　２４０４４

　　　　　　　　　　　　　　注日從天謂道

自　　　　　然　 　　　　　從道謂自然矣

　　　　　　　　　　　　　　　　　東野芭蕉桑門

松尾芭蕉

　翁は正保元年（一六四四）伊賀上野の赤坂町に生れた年少にして

藤堂新七郎家の嫡子良忠の近習として仕えたが良忠の死によっ

て主家を退身し志を俳諧に求めて江戸に下った　翁は市中に住

みわびて俳諧への精進と生活の嘗苦を続けながら在来の古風俳

諧から脱して 蕉風体の新風を確立し 俳諧の理念を「自然」

に求め風雅の誠を漂泊の旅によって実践したかくて不滅の文化

を創造した翁は後世に俳聖と仰がれるに至った

　翁は旅を栖の詩人として 甲子吟行野ざらし紀行 奥の細道

の行脚をつづけ更に元禄七年（一六九四）九州に向けて旅立ったが途

中病を得て浪速御堂筋の茶屋で五十一歳の生涯を閉じた

　　陰　　　　　昭和五十四年五月六日

　　　　　　　　　　創立十五周年記念

　　　　　　　　　　　伊賀上野ライオンズクラブ

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五十四年（一九七九）五月六日

　　　　　　　　　　�A　伊賀上野ライオンズクラブ建立

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上野市役所前庭

　

Ｅ　２４０４５

　俳聖殿由緒記／建設者川崎克氏は伊賀の生／める俳聖芭蕉の業績を追慕し／その豊かなる詩情を日本

全国及び／世界宏めんと企て昭和十五年／俳聖殿の建立を志し郷黨出身／の友人の協力を得て同十七年

／之を完成した／構想を旅と俳句にその生涯を／送った芭蕉の行脚姿にとり／建築学界の泰斗伊東忠太

／博士の示唆により總檜造／檜皮葺とし類例のない日本／俳建築となった此の構築に／際し伊賀建築界

も設計及び／施工に積極的な協力をなし／川崎克氏も亦年來研鑽の陶／藝技術自の築いた伊賀窯を／以

て芭蕉翁の瞑想像を作成し／殿堂に安置した／この由緒碑は上野市長豊岡盛人氏／の主唱により関係者

相圖り設立／したものである／昭和三十六年芭蕉祭當日／伊賀文化産業協會會長／川崎秀二識す

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十六年（一九六一）十月十二日

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白鳳公園俳聖殿

　

Ｆ　２４０４６

さ　ま　〓　〓　の　事　お　も　ひ　出　す　櫻　哉 　桃��

　

　　　　　　　　　　�@　大正七年（一九一八）

　　　　　　　　　　�A　田中米升　増田篝舟　落合葵巳　大津銀衣　磯田靜曉　安場平和堂らの建立

　　　　　　　　　　�B　浜松の俳人松島十湖筆

　　　　　　　　　　�C　上野市丸の内　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　白鳳城天主閣下

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐11‐0332

Ｆ　２４０４７

古　池　や　蛙　飛　ひ　こ　む　水　の　音 　はせを

　

　　　　　　　　　　�C　上野市西日南町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蓑虫庵

　　　　　　　　　　�D　昭和五年（一九三〇）菊本直次郎移建　北斎の冨嶽三十六景『深川万年橋下

』　　　　　　　　　　　　に描かれた芭蕉庵跡にこの句碑が描かれている

　

Ｆ　２４０４８

よ　く　み　れ　は　な　つ　な　花　さ　く　垣　ね　か　な 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五年（一九三〇）十二月

　　　　　　　　　　�A　庵主菊本直次郎建立

　　　　　　　　　　�C　上野市西日南町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蓑虫庵

　

Ｅ　２４０４９

（横額）俳聖芭蕉翁遺蹟

　　　蓑虫庵の記

蓑虫庵は貞享四年の冬服部半左衛門保英

の營む所に係りもと些中菴と稱す菴主保

英は芭蕉翁に就き俳諧を學び土芳と號し

兼ねて和漢の學に通じ又内海流の槍術を

能くせり元祿元年三月翁を屋どせし時土

芳の面白う松笠燃えよ朧月の句あり翁深

く此庵を愛し歸郷毎に滯杖するを例とせ

り或る日翁の示せる吟に

　　 蓑虫の音を聞きに來よ草の庵

とありし句意に因みて爾來蓑虫庵と號せ

りと傳ふ星移り時變りて碧山菊本氏の菴

主たるに及び名蹟保存の實を擧げ得た所

は寔に斯道の爲に貢献する所や淺からざ

るべし

　 昭和五庚午〓初冬

　　　　 東都關口芭蕉庵主伊藤松宇識

　　陰　　　　　服部土芳歿後二百有一年

　　　　　　　　　昭和五年十二月蓑虫庵主菊本直次郎

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五年（一九三〇）十二月

　　　　　　　　　　�A　菊本直次郎建立

　　　　　　　　　　�B　伊藤松宇筆

　　　　　　　　　　�C　上野市西日南町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　蓑虫庵

　

Ｆ　２４０５０

　　　　　　西麓庵にて

新　藁　の　出　初　め　て　早　き　時　雨　哉 　芭蕉翁

　　陰　　　　　明治百年記念

　　　　　　　　昭和四十三年五月車坂町老人クラブ建之

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　桃井隆康謹書

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐12‐0333

　　　　　　　　　　�@　昭和四十三年（一九六八）五月

　　　　　　　　　　�A　車坂町老人クラブ建立

　　　　　　　　　　�B　桃井隆康筆

　　　　　　　　　　�C　上野市車坂町　　　　　　　　　　　　　　　　　　森重助氏宅前西麓庵跡

　

Ｆ　２４０５１

蛇　く　ふ　と　き　け　バ　恐　ろ　し　雉　の　聲 　はせを

　　陰　　　　　昭和四十三年十月十二日西山老人クラブ建之

　　左　　　　　明治百年記念

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十三年（一九六八）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　西山老人クラブ建立

　　　　　　　　　　�C　上野市西山　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　西山公民館

　

Ｆ　２４０５２

　　　　　　旧里の道すがら

し　ぐ　る　ゝ　や　田　の　あ　ら　か　ぶ　の　黒　む　程 　芭蕉

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 後学杉森干柿禮書

　　陰　　　　　西高倉老人クラブ会長西岡忠兵衛建之

　　　　　　　　　昭和四十三年十月明治百年記念

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十三年（一九六八）十月

　　　　　　　　　　�A　西岡忠兵衛建立

　　　　　　　　　　�B　杉森干柿筆

　　　　　　　　　　�C　上野市西高倉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　高倉神社参道

　

Ｅ　２４０５３

大　福　寺　無　名　庵　跡

　　左　　　　　芭蕉翁顕彰会長奥瀬平七郎書

　　陰　　　　　昭和四十九年六月吉愛宕神社総代会

　　右　　　　　大福寺無名庵の由来

　　　　　　　　はじめ無名庵（芭蕉五庵の一）が生家の後庭に建てられたのが元禄七年（一六九四）

　　　　　　　　の秋であった　その後宝永初年（一七〇四）にこの地に移されて服部土芳（芭蕉翁の

　　　　　　　　高弟）がここに俳諧道場として伊賀蕉門の指導誘掖に当った　土芳の逝去享保十五年

　　　　　　　　（一七三〇）後は折畳まれて大福寺の倉庫に眠っていたのを赤坂の藤堂元甫公の別業

　　　　　　　　に移されて再形庵として復活した時は宝暦四年（一七五四）のことである

　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　芭蕉翁記念館長桃井隆康撰

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十九年（一九七四）六月

　　　　　　　　　　�A　愛宕神社総代会建立

　　　　　　　　　　�C　上野市愛宕町　　　　　　　　　　　　　　　　　　愛宕神社境内大福寺跡

　

Ｆ　２４０５４

　　　　　　元禄三年三月十一日

畠　う　つ　音　や　あ　ら　し　の　さ　く　ら　麻 　はせを

　　　　　　荒木村白髭社にて

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十二年（一九五七）

　　　　　　　　　　�A　白髭神社氏子建立

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐13‐0334

　　　　　　　　　　�B　菊山當年男筆

　　　　　　　　　　�C　上野市荒木　宮ノ前　　　　　　　　　　　　　須智荒木神社（白髭明神）

　

Ｆ　２４０５５

手　は　な　か　む　お　と　さ　へ　梅　の　に　ほ　ひ　か　な 　はせを

　　陰　　　　　昭和三十七年十二月／敢国神社崇敬会建之

　

　　　　　　　　　　�@　昭和三十七年（一九六二）十二月

　　　　　　　　　　�A　敢国神社崇敬会建立

　　　　　　　　　　�C　上野市一之宮　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敢国神社参道

　

Ｆ　２４０５６

一　里　は　皆　花　守　の　子　孫　か　や 　芭蕉翁

　　左　　　　　天保六年未二月改造川口右文

　

　　　　　　　　　　�@　天保六年（一八三五）二月

　　　　　　　　　　�A　川口右文改造

　　　　　　　　　　�C　上野市予野　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　花垣神社

　

Ｊ　２４０５７

香　に　匂　へ　う　に　掘　る　岡　の　梅　の　花 　芭蕉

う　に　の　香　も　年　ふ　る　山　の　冬　の　梅 　竹人

　

　　　　　　　　　　�@　昭和二十九年（一九五四）六月

　　　　　　　　　　�A　古山北老人クラブ建立

　　　　　　　　　　�B　上野市長豊岡益人筆

　　　　　　　　　　�C　上野市菖蒲池寺山　　　　　　　　　　　　　　　　　真言宗豊山派市場寺

　

Ｊ　２４０５８

　　　　　　無常迅速

や　か　て　死　ぬ　け　し　き　は　見　へ　す　蝉　の　聲 　翁

　　　　　　その響菩提寺の山にみちて

　　　　　　人おのつからなみあみたなみあみた

こ　ゑ　に　皆　鳴　し　ま　ふ　て　や　蝉　の　か　ら 　　土芳

　　陰　　　　　昭和五十一年七月十一日建之

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五十一年（一九七六）七月十一日

　　　　　　　　　　�A　十河泰雄　別所法山　前田俊雄　萩野進建立

　　　　　　　　　　�C　上野市長田　垣内　　　　　　　　　　　天台真盛宗医王山無量寿院西蓮寺

　

Ｋ　２４０５９

☆道しるべ

信　雄　の　古　城 　是より三丁

　　左　　　　　天照大〓御舊〓穴穗宮　是より　西へ十二丁

　　右　　　　　あをいせ道

　　陰　　　　　城跡や何やらゆかし菫草　はせを　明二巳

　

　　　　　　　　　　�@　明治二年（一八六九）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐14‐0335

　　　　　　　　　　�C　上野市下神戸　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　丸山集落東部

　

Ｆ　２４０６０

草　臥　て　宿　か　る　比　や　藤　の　花 　芭蕉

　

　　　　　　　　　　�@　昭和五十六年（一九八一）六月九日

　　　　　　　　　　�A　旅館「ふじ」主人建立

　　　　　　　　　　�B　加藤楸邨筆

　　　　　　　　　　�C　上野市西大手町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　旅館「ふじ」

　

Ｆ　２４０６１

明　月　の　花　か　と　見　へ　て　わ　た　は　た　け

　

　　　　　　　　　　�C　上野市　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　某所

　

Ｉ　２４０６２

☆付句

雁　ゆ　く　か　た　や　し　ろ　子　若　松 　はせを

　

　　　　　　　　　　�C　鈴鹿市若松西四丁目　　　　　　　　　　　　　　　　　真宗大谷派緑芳寺

　

Ｆ　２４０６３

香　に　に　ほ　へ　う　に　ほ　る　岡　の　梅　の　花

　　陰　　　　　芭蕉翁百回忌建之

　

　　　　　　　　　　�@　寛政五年（一七九三）百回忌

　　　　　　　　　　�A　隠川社中建立

　　　　　　　　　　�C　名張市蔵持町　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗恵日山光明院長慶寺

　

Ｆ　２４０６４

市　人　よ　此　傘　の　雪　賣　ら　ふ 　芭蕉翁

　　陰　　　　　文化十四年丁丑孟冬良辰建之鳥二〓惣社中

　

　　　　　　　　　　�@　文化十四年（一八一七）十月

　　　　　　　　　　�A　鳥二庵社中建立

　　　　　　　　　　�C　名張市本町　　　　　　　　　　　　　　　　　浄土宗揚柳山清浄院栄林寺

　

Ｆ　２４０６５

鷹　ひ　と　つ　見　つ　け　て　う　れ　し　伊　良　子　崎 　芭蕉

　

　　　　　　　　　　�C　鳥羽市鳥羽一丁目　　　　　　　　　　　　　　　　　　日和山頂上展望台

　

Ｆ　２４０６６

ほ　と　ゝ　き　す　消　行　か　た　や　島　ひ　と　つ 　芭蕉

　　陰　　　　　寛政九年丁巳冬月双鳬謹建之

　

　　　　　　　　　　�@　寛政九年（一七九七）冬

　　　　　　　　　　�A　双鳬建立

　　　　　　　　　　�C　鳥羽市鳥羽三丁目　　　　　　　　　　　　　　高野山真言宗観音院金胎寺

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐15‐0336

Ａ　２４０６７

芭　　　蕉　　　翁　　　反　　　古　　　塚

　

　　　　　　　　　　�C　久居市〓原町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　山川好郎氏宅

　

Ｆ　２４０６８

道　端　の　木　槿　は　馬　に　喰　れ　け　り 　翁

　　左　　　　　竹籟舎青木氏桃溪七十七叟謹書

　　陰　　　　　建主發句拜名前帳面等附有三人數七十五人

　　右　　　　　安永七戌年十月建之

　

　　　　　　　　　　�@　安永七年（一七七八）十月

　　　　　　　　　　�B　青木桃溪筆

　　　　　　　　　　�C　久居市幸町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　時の鐘付近

　　　　　　　　　　�D　はじめ寺町雲興寺に建立　後役場前に移し　三度目に現在地へ

　

Ｂ　２４０６９

芭　　　蕉　　　翁

　　陰　　　　　宮人よわか名をちらせ落葉川　はせを

　　　　　　　　　勢州楠無三　同抽井東皐　同我蓬

　

　　　　　　　　　　�@　明和六年（一七六九）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　歸童仙五竹坊門人　楠無三　抽井東皐　我蓬建立

　　　　　　　　　　�C　桑名郡多度町多度　　　　　　　　　　　　　　　　　　多度神社稲荷神社

　

Ｅ　２４０７０

芭　　　蕉　　　翁　　　信　　　宿　　　処

　　陰　　　　　元祿二年秋蕉翁此に信宿して佳句あり人口に膾炙す

　　　　　　　 載せて家集にあり現住覺宥名跡の埋歿を懼れ遂に

　　　　　　　 衆と力を合せ碑を建て且つ吾公之題字を乞ひ奉り以

　　　　　　　 て遺蹟の光榮とす（原漢文）

　　　　　　　　　　　寛政改元春　　　文字十時謹誌

　

　　　　　　　　　　�@　寛政元年（一七八九）春

　　　　　　　　　　�A　六世覺宥建立

　　　　　　　　　　�B　題字藩主増山正賢雪斎筆撰文　長島藩儒官十時撰文筆

　　　　　　　　　　�C　桑名郡長島町西外面　　　　　　　　　　　　　　　　真言宗智山派大智院

　

Ｆ　２４０７１

　　　　伊勢の國長嶋大智院に信宿ス

う　き　我　を　さ　ひ　し　か　ら　せ　よ　秋　の　寺 　はせを

　　陰　　　　　元禄二年一六八九　九月奥の細道の旅を終えた蕉

　　　　　　　 翁は大智院に信宿して一句を書き献した　翌三年

　　　　　　　　の夏幻住庵に於いて秋の寺を閑古鳥と更めた

　　　　　　　　　　千九百七十年初夏建之

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十五年（一九七〇）

　　　　　　　　　　�B　大智院所蔵真蹟

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐16‐0337

　　　　　　　　　　�C　桑名郡長島町西外面　　　　　　　　　　　　　　　　真言宗智山派大智院

　

Ｂ　２４０７２

芭　　　蕉　　　翁

　　左　　　　　青柳の泥にしたゝる汐干かな

　　陰　　　　　五竹門人

　　右　　　　　寶暦八戊寅十月十二日

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦八年（一七五八）十月十二日

　　　　　　　　　　�A　五竹門人

　　　　　　　　　　�C　桑名郡木曾岬村上和泉　　　　　　　　　　　　　　　　　　曹洞宗源盛院

　

Ｆ　２４０７３

永　き　日　を　さ　へ　す　り　足　ら　ぬ　ひ　は　り　哉 　芭蕉翁

　　左　　　　　雲に入る跡をしたうや揚ひはり　一巴

　

　　　　　　　　　　�@　宝暦八年（一七五八）三月十二日

　　　　　　　　　　�A　一巴建立

　　　　　　　　　　�B　松洲筆

　　　　　　　　　　�C　桑名郡木曾岬村外平喜　　　　　　　　　　　　　　　　真宗大谷派了清寺

　

Ｆ　２４０７４

文　月　や　六　日　も　常　の　夜　に　は　似　す 　芭蕉

　　陰　　　　　靄の日や日はしつとりと今朝の秋　茂竹

　　左　　　　　遠口起人拜壬子立秋義觀代

　

　　　　　　　　　　�A　義觀建立

　　　　　　　　　　�C　三重郡菰野町西菰野湯の山温泉　　　　　　　　　　　天台宗薬師堂三嶽寺

　

Ｅ　２４０７５

芭　蕉　誕　生　記　念　碑

　　陰　　　　　芭蕉翁は松尾宇右衛門の第二子として上柘植に生る翁沒して二百年松尾氏既に分れて

　　　　　　　　六家を爲す末た標その里になしよつて相謀つて石を福地伊予守の城址に建て故郷臍の

　　　　　　　　緒の句を刻む云々／町井台水撰文柘植百童書

　

　　　　　　　　　　�@　明治二十六年（一八九三）二百回忌

　　　　　　　　　　�B　柘植百童筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡伊賀町柘植山出　　　　　　　　　　　　　　福地城本丸跡芭蕉公園

　

Ｆ　２４０７６

古　さ　と　や　臍　の　緒　に　な　く　と　し　の　暮 　はせを

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　晋永機筆

　

　　　　　　　　　　�@　明治二十六年（一八九三）十月二百回忌

　　　　　　　　　　�A　中野柳助らの建立

　　　　　　　　　　�B　晋永機筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡伊賀町柘植山出　　　　　　　　　　　　　　福地城本丸跡芭蕉公園

　　　　　　　　　　�D　永機＝前出P.0123

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐17‐0338

Ｆ　２４０７７

そ　は　は　ま　た　花　て　も　て　な　す　山　路　か　な 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@　昭和十八年（一九四三）

　　　　　　　　　　�A　松尾徹斎建立

　　　　　　　　　　�B　松尾徹斎筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡伊賀町柘植山出　　　　　　　　　　　　　　福地城本丸跡芭蕉公園

　

Ｅ　２４０７８

芭　蕉　翁　生　誕　之　地

　　陰　　　　　俳聖芭蕉は正保元年上柘植松尾儀左衛門宗住の次子として生まれた　平宗清の宗裔柘

　　　　　　　　植七党に族した名家である　ことし生誕三百二十五年を迎え中頃の〓福地氏ゆかりの

　　　　　　　　城址に碑を建てながくその高風を偲ぶよすがとした

　　　　　　　　　昭和四十三年十一月十二日伊賀町芭蕉翁顕彰会

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十三年（一九六八）十一月十二日

　　　　　　　　　　�A　伊賀町芭蕉翁顕彰会建立

　　　　　　　　　　�C　阿山郡伊賀町柘植山出　　　　　　　　　　　　　　福地城本丸跡芭蕉公園

　

Ａ　２４０７９

芭　蕉　翁　桃　��　庵　主

　

　　　　　　　　　　�C　阿山郡伊賀町柘植山出　　　　　　　　　曹洞宗総持寺派徳雲山万寿寺墓地

　

Ｆ　２４０８０

枯　芝　や　や　ゝ　か　け　ろ　ふ　の　一　二　寸 　芭蕉

　　陰　　　　　昭和四十三年十二月

　　　　　　　　　　蕗の臺句会　九園謹書

　

　　　　　　　　　　�@　昭和四十三年（一九六八）十二月六日

　　　　　　　　　　�A　蕗の臺同人建立

　　　　　　　　　　�B　菊山九園筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡大山田村平田　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　植木神社

　

Ｆ　２４０８１

か　ら　か　さ　に　お　し　分　見　た　る　柳　哉 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@　嘉永二年（一八四九）

　　　　　　　　　　�B　花屋主人筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡大山田村上阿波　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　大橋畔

　

Ｆ　２４０８２

初　し　く　れ　猿　も　小　み　の　を　ほ　し　け　也 　芭蕉翁

　　陰　　　　　天明戊申立秋日／遲月宗雨監建之

　

　　　　　　　　　　�@　天明八年（一七八八）秋

　　　　　　　　　　�A　津市安濃津の俳人遲月庵宗雨建立

　　　　　　　　　　�C　阿山郡大山田村上阿波横尾長野峠　　　　　　　　　　　　　　　　猿蓑塚

　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24‐18‐0339

Ｌ　２４０８３

伊賀國阿波の庄に新大佛といふあり此所にならの都東大寺

のひしり俊乘上人の舊跡なり二王門撞樓の跡は枯たる

草の底に隱れて松ものいはゝ事とはん礎はかり菫のみしてと

いひけんもかゝる氣色に似たらむ猶分入て蓮華臺獅子の

座なんとはいまた苔の跡を殘せり御佛はしりへなる岩窟に疊れて

霜に朽苔に埋れ纔に見えさせ給ふにみくしはかりいまた恙か

なく上の御影をあかめ置たる草堂の傍に安置したり

誠にこゝらの人の力を費し上人の貴願いたつらになり侍る事も悲し

く涙も落て詞もなくむなしき石臺にぬかつくのみ

　　　　　丈六に陽炎高し石の上　　　芭蕉桃��

　

　　　　　　　　　　�@　文化七年（一八一〇）

　　　　　　　　　　�A　泰音和尚建立

　　　　　　　　　　�B　長月庵若翁筆

　　　　　　　　　　�C　阿山郡大山田村富永　　　　　　　　　　　　真言宗智山派五宝山新大佛寺

　　　　　　　　　　�D　若翁の『由来記』に「庚午初夏七十七〓若翁」とあることから文化七年建立

　　　　　　　　　　　　と推定

　

Ｆ　２４０８４

疑　ふ　な　潮　の　花　も　浦　の　春 　はせを

　

　　　　　　　　　　�@　天保十年（一八三九）五月

　　　　　　　　　　�C　度会郡二見町　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二見浦