12‐01‐0144
J 12001
う ら や ま し 浮 世 の 北 の 山 櫻 芭蕉翁
海 は れ て 動 か ぬ 星 や 秋 の 空 完來
陰 願主千葉連十七名の名あり(略)
文政元戊寅秋九月建之/五世雪中庵對山書
@ 文政元年(一八一八)九月
A 千葉連建立
B 五世雪中庵對山筆
C 千葉市院内一‐一六 千葉神社
D 完來=初め富増氏 のち大島氏 通称吉太郎 号震柳舎・野狐窟・空華居士
もと伊勢津藩 江戸住 書を能くしたという 明和五・六年ごろ蓼太の門に
入り のちその養子となる 天明七年(一七八七)蓼太初月忌の日沙羅らに
推されて四世雪中庵の号と嵐雪伝来の点印を継承 文化十四年(一八一七)
四月十八日没七十歳 雪中庵=一世服部嵐雪 二世櫻井吏登 三世大島蓼太
四世大島完來
F 12002
凉 し さ や ほ の 三 日 月 の 羽 黒 山
雲 の 峰 い く つ く つ れ て 月 の 山
か た ら れ ぬ 湯 殿 に ぬ ら す 袂 か な
陰 明治廿四年九月廿日建之
@ 明治二十四年(一八九一)九月二十日
C 千葉市稲毛 浅間神社
F 12003
海 く れ て 鴨 の 聲 ほ の か に 白 し はせを翁
陰 文化二乙丑年四月 日無物庵造立
蘆の穗に五日はかりの月夜かな 存亞
います如くいのらはなとか・の留守 前・主宮城
@ 文化二年(一八〇五)四月
A 無物庵存亞建立
C 銚子市柴崎町 海上八幡宮
J 12004
☆消滅
し は ら く は 花 の う へ な る 月 夜 哉 翁
一 つ か み 鳥 の こ ほ す 櫻 か な 柳居
醉 こ と は 天 下 は れ た り 花 盛 鳥醉
@ 寛政十年(一七九八)推定
A 夏霜庵百井建立
C 銚子市馬場町 円福寺(飯沼観音)
12‐02‐0145
D 夏霜庵百井=寛政十二年(一八〇〇)五十余歳没
柳居=前出P.0088 鳥醉=前出P.0069
J 12005
し は ら く は 花 の う へ な る 月 夜 哉 翁
一 つ か み 鳥 の こ ほ す 櫻 か な 守黒庵柳居
醉 こ と は 天 下 は れ た り 花 盛 松露庵鳥醉
花 盛 海 は 靜 に 暮 も せ す 二世 烏明
曇 れ た ゝ 櫻 か も と に 倚 や す き 土龍庵百明
な か ら へ て 蛙 の 聲 や 秋 の 雨 市石・弄船
花 木 槿 月 は 翌 日 あ る も の な か ら 夏霜觀百井
い ろ ・ ・ の 有 て 白 菊 黄 き く 哉 名古曾亭桃源
關東憲斎書
陰 天保二年辛卯如月再建松露庵社中
禪
此箇一字子會麼光星生死心絶端是也
佛頂禪師示芭蕉翁語古梁・
@ 天保二年(一八三一)二月
A 松露庵社中建立
B 憲斎筆
C 銚子市馬場町 円福寺(飯沼観音)
D 柳居=前出P.0088 鳥醉=前出P.0069 烏明=前出P.0069 百明=杉坂氏
号土龍庵・鴫立庵 上総東金の人 江戸に住む 鳥醉門 天明四年(一七八
四)七月二十二日没 師についで鴫立庵主となる
J 12006
枯 枝 に か ら す の と ま り け り 秋 の 暮 はせを
あ き の 夕 誰 か 身 の う へ そ 鐘 か 鳴 桂丸
陰 弘化二年巳初夏 野崎清□□
大里氏
@ 弘化二年(一八四五)四月
A 恒斎桂丸建立
C 銚子市春日町 浄土宗浄国寺
D 恒斎桂丸=銚子の回船問屋「行方屋」の六代目大里庄治郎富文
C 12007
芭 蕉 翁
うたかふな潮の華も浦の春
陰 得雄和尚在世
寛政九丁巳・冬 戸田麥丈建立
堀木以閑
借地料寄附 及川鼠明
@ 寛政九年(一七九七)冬
A 戸田麥丈建立
C 市川市本塩 浄土真宗本願寺派法善寺
12‐03‐0146
A 12008
( ・ 翁 逍 遙 之 舊 ) 蹟 方鏡叟
( 千 先 生 旅 舎 ) 之 地 千梅建之
( 小 名 木 澤 五 本 松 )
( 芭 蕉 翁 ) 桃 ・ 居 士 河野氏
( 千 那 律 師 ) 感 應 院 梅尺属之
@ 寛保三年(一七四三)五十回忌(延享元年四月五日説あり)
A 千梅が翁と先師千那の真蹟を埋めて建立
C 市川市国府台 天台宗医王山妙王院泉養寺
D 建碑の時泉養寺に納めた祠堂金の受納書
覺
一、金三匁二歩
右芭蕉塚永代爲祠堂慥ニ致受納候
常に掃除等念ヲ入可申付候 以上
泉養寺 主峯印
田中 七左衞門殿
河野九郎右衞門殿
千先生=千那 三上氏 名は明式 号蒲萄坊 初め千那堂官江 近江堅田真
宗本福寺十一世住職法橋権律師 本願寺寂如上人に仕え 厚遇を受ける 初
め談林のち蕉門 享保八年(一七二三)四月二十七日没七十三歳 千梅=通
称田中七左衞門知義 号方鏡閣・白翁 初め千梅林亞靖 近江辻村(栗太郡
栗東町の鋳物師 千那門の筆頭 毎年半歳は江戸深川の出店に住む 明和六
年(一七六九)四月十五日没八十四歳 寛保三年芭蕉五十回忌に江戸深川泉
養寺に芭蕉・千那の同会塚を建て 翌延享元年(一七四四)に記念の『千鳥
の恩』を上梓 梅尺=千梅の門人 泉養寺=慶長年間(一五九六〜一六一四
) 江戸深川村の鎮守深川神明宮の別当寺として森下一丁目に創建 深川開拓
の
祖深川八郎右衛門の菩提寺で 元禄六年(一六九三)六月深川の猿江村に移
転 大正十二年(一九二三)関東大震災に塚は半ば崩壊し昭和二年(一九二
七)同寺の市川移転とともに塚も移転した 五本松=泉養寺の近くの九鬼家
の下屋敷から小名木川へ枝を張った老松に因んで「五本松」と呼ばれ 東都
の名勝の一つであり 芭蕉逍遙の地であった 千梅林=鋳物屋田中千梅は五
本松の近くに「千梅林」と称する邸宅を構えて 千那が出府するとここに逗
留した 即ち千那の旅舎の地である
F 12009
此 の あ た り 眼 に 見 ゆ る も の 皆 す ゝ し はせを
陰 當園世話人 三戎 白龜 文守 好山 里遊 松濤
文政六癸未建之
@ 文政六年(一八二三)
A 三戎 白龜 文守 好山 里遊 松濤らの建立
C 館山市那古 新義真言宗智山派補陀落山那古寺
F 12010
春 も や ゝ 氣 色 と ゝ の ふ 月 と 梅 はせを
台石 芭蕉翁二百回忌追福/明治廿二年四月建碑
俳人一五〇名の号が刻まれている(略)
發起稻原路米
12‐04‐0147
@ 明治二十二年(一八八九)四月二百回忌
A 稻原路米建立
C 館山市那古 新義真言宗智山派補陀落山那古寺
F 12011
や か て 死 ぬ け し き は み え す ・ の 聲 はせを
@ 文化十年(一八一三)
A 当寺の俳僧白老建立
C 木更津市矢部 高藏寺(高倉観音)
D 建碑記念集『世美冢』文化十年(一八一三)刊 白老編 夏目成美の序
一茶・白老両吟歌仙あり 成美=前出P.0080
C 12012
翁
御命講や油のやふな酒五升
台石 東都今日庵門人/ 小金原藤風庵可長/松朧庵探翠/方閑斎一堂/避賢亭幾來/
當山三十九世仙松斎一鄒/文化元子十月建之
@ 文化元年(一八〇四)十月
A 今日庵元夢らの建立
C 松戸市平賀 日蓮宗本土寺(あじさい寺)
F 12013
し は ら く は 花 の う へ な る 月 夜 か な 翁
松朧庵探翠建之
陰 文政八乙酉三月五日 梅澤氏/明珠院自得日歓信士/
圓珠院妙得日喜信女
文化三丙寅天三月四日
@ 文政八年(一八二五)三月五日
A 梅澤松朧庵探翠建立
C 松戸市小金 妙典寺
F 12014
凉 し さ や ほ の 三 日 月 の 羽 黒 山
左↓右 靈場巡拜記念と・先供養のため建碑する旨の銘(略)
願主中川仲右衛門/慶應元年乙丑八月吉日建之
@ 慶応元年(一八六五)八月
A 中川仲右衛門建立
C 野田市野田 西光院
F 12015
西 行 の 庵 も あ ら む は な の 庭 芭蕉
芭蕉の遺徳を稱える漢文銘(略)
文政戊子冬十月秋水池守龍撰/陶斎呂省吾書
陰 百年の氣しきを庭の落葉かな
12‐05‐0148
@ 文政十一年(一八二八)十月
A 臥外建立
B 陶斎呂省吾筆
C 野田市野田 愛宕神社
J 12016
梅 か 香 に の つ と 日 の 出 る 山 路 か な はせを
日 の 廻 る 世 界 を 梅 の に ほ ひ 哉 素堂
陰 家族の冥福を・る漢文銘(略)/維時文化丁丑初冬日
葛飾五世其日庵白芹誌/堤根新田高梨孫七謹建
@ 文化十四年(一八一七)十月
A 高梨孫七建立
C 野田市堤根 菅原神社
F 12017
赤 々 と 日 は つ れ な く も 秋 の 風 はせを
碑面下部 こゝろほとすむものもなし荻の聲 恒丸
花守や叱るかはりの咳拂ひ 桐雨
狹筵に名月拾ふ山家かな 子行
舟十里來ても夜のあり荻の聲 江月
馬なからうしろの見たき枯野哉 兎郷
價をはかくして親に初松魚 米睦
左 明治二十六年十月 俵口社中建之
@ 明治二十六(一八九三)年十月
A 恒丸俵口社中建立
C 佐原市佐原 諏訪神社
F 12018
こ の あ た り 目 に 見 ゆ る も の 皆 す ゝ し 芭蕉翁
陰 嘉永四辛亥年八月
深山より洩れて尊き清水哉 峯斎白・
凉しさを慰む松葉角力かな 森窓箕山
@ 嘉永四年(一八五一)八月
C 佐原市大倉 側高神社
K 12019
☆顕彰碑
(篆額)景福 仙台伊達宗能公筆
聲畫庵旭斎の顯彰漢文銘(略)
明治二十五年春三月
陰 山路來て何やら床しすみれ草 芭蕉翁
@ 明治二十五年(一八九二)三月二百回忌
A 聲畫庵旭斎建立
C 佐原市多田新田 東屋前
D これは聲畫庵旭斎の顯彰兼壽藏碑である 旭斎の門人玉井可笑の撰文 高木
12‐06‐0149
東皐の書による漢文銘がある 旭斎=東氏 名は胤孝といい文政五年当地の
生まれ 農のかたわら俳諧を高柳丁知 大江由誓らに学び 各地に芭蕉の遺
跡をたずね 多数の門弟を育てた 『明治五百題』・『明治百歌仙』などを
出版し 芭蕉の二百年忌にあたりこの壽藏碑を建立する旨が刻まれている
なお建碑記念に『すみれ草』を上梓した
F 12020
丈 六 に 陽 炎 高 し 石 の 上 はせを翁
陰 翁追慕の銘(略)
やさしの浦蕪里なる玉斧の需に應して曲直庵龜文謹書
左 同志十五名の俳号(略)
右 天明八年戊申十月十二日願主玉斧建
@ 天明八年(一七八八)十月十二日百回忌
A 松風庵玉斧建立
B 曲直庵本多龜文筆
C 成田市成田 成田山公園入口梅林の傍
F 12021
か れ 枝 に 烏 と ま り け り あ き の 暮 はせを翁
烏秋建之
@ 文政三年(一八二〇)推定
A 烏秋建立
C 八日市場市貝塚本郷地区 真言宗宝光寺
F 12022
☆存疑
此 道 に 出 て す ゝ し さ よ 松 の 月 はせを
@ 寛政十二年(一八〇〇)
A 二世飛鳥園並木寂阿一叟建立
C 八日市場市安久山 木下浩嗣氏宅裏
D 一叟=俗称並木七郎右衛門 飛鳥園二世を名乗り 寂阿一叟と号した 初号
芝蘭 号麥蒔舎・兎什・素寂・空居・阿洲・芦風坊辨阿 下総香取の人
宗瑞門 享和元年(一八〇一)五月五日没 建立記念撰集『搖ぎ松集』を寛
政十二年(一八〇〇)八月に上梓
F 12023
名 月 や 池 を 巡 り て 夜 も す か ら 翁
陰 ・翁百五十一回石文起立/天保十五辰稔三月十六日/本願主 月霜庵汀砂/補助 十
雪樓西湖 日々庵新々日下樓可門/山南 雪斗 茂量 其風 湖月 登汐 既藝
@ 天保十五年(一八四四)三月十六日百五十一回忌
A 月霜庵汀砂建立
C 八日市場市内山 妙高寺
12‐07‐0150
F 12024
も の い へ は 唇 寒 し 秋 の 風 翁
台石 ・・蕉翁二百年遠忌辰ニヨリテ建/明治十五年十月十二日/發起 林鶴州 伊藤一道
平山立志 平山歩山 黒澤谷中
@ 明治十五年(一八八二)十月十二日二百回忌
A 林鶴州らの建立
C 八日市場市飯高 飯高小学校前
D はじめ常・寺廢寺にあったもの
F 12025
つ た の 葉 の む か し め き た る も み ち か な 芭蕉翁
後學無有庵汎翠謹書
陰 ・翁二百年祭/明治廿六年十月十二日建之
台石 發起人 汎翠 歩山 一道 鶴州 立志
@ 明治二十六年(一八九三)十月十二日二百回忌
A 無有庵汎翠らの建立
B 無有庵汎翠筆
C 八日市場市飯高 飯高寺
D はじめ常・寺廢寺にあったもの
F 12026
鶯 や 柳 の う し ろ 藪 の ま へ
C 八日市場市八日市場下出羽町 木立寺
F 12027
赤 々 と 日 は つ れ 勿 も 金 風 芭蕉翁
陰 于嗟芭蕉翁於此道有聲/寛政癸丑以丁百載之期
其門葉末士造碑謹書十一名の俳名(略)
@ 寛政五年(一七九三)百回忌
C 旭市旭イ 東漸寺
D 金風=あきのかぜと読む 五行説で秋は金にあたるので 秋風の別称
F 12028
先 頼 む 椎 の 樹 も あ り 夏 木 立 芭蕉翁
陰 ・翁爲吊二百年遠忌海上網戸住聽濤園主
彫刻高詠石表而建築之以傳不朽云時
明治丙戌十月十二日
八雲たつ海上潟や幾時雨 降
世の中や時雨に染も二百年 旭斎
@ 明治十九年(一八八六)十月十二日二百回忌
A 聽濤園主建立
B 旭斎筆
C 旭市旭イ 八重垣神社
12‐08‐0151
F 12029
花 の 雲 鐘 は 上 野 か あ さ く さ か 芭蕉翁
陰 昭和五年五月建之
時雨會や吊ふ二百五十年 莊伯/翁忌や我は耳順に手の屆 故耕雨
@ 昭和五年(一九三〇)五月二百五十回忌
A 莊伯建立
C 旭市琴田 真言宗海宝寺
D 吊=弔の俗字
F 12030
☆誤伝
凉 し さ や 眞 帆 に 眞 向 の 山 な れ は 宗舞
大谷若水書
陰 桃湯あひたる通夜の居こゝろ/草雅建之
A 草雅建立
B 大谷若水筆
C 柏市布施 真言宗東海寺
D 宗舞の舞を房と読み 芭蕉の初号宗房と読み誤り芭蕉句碑として誤伝してき
たもの
F 12031
御 命 講 や 油 の や う な 酒 五 升 はせを
陰 冬籠唯浪の音松の聲 枕流亭
文久元辛酉孟夏
右 見外拜書
@ 文久元年(一八六一)四月
A 枕流亭一澄建立
B 菊守園見外筆
C 勝浦市浜勝浦 日蓮宗本行寺
D 見外=通称小林甚藏また円藏 号菊守園・重陽堂・東雲庵 甲州に生まれ江
戸住 護物門 明治六年(一八七三)二月二十日没六十七歳
F 12032
清 瀧 や 波 に ち り こ む ・ 松 葉 はせを
川四郎拜書
陰 慶應三卯
@ 慶応三年(一八六七)
A 丁子屋伊八建立
B 川四郎筆
C 我孫子市瀧前 瀧前不動堂
F 12033
海 く れ て 鴨 の 聲 ほ の か に 白 し はせを
陰 日々房鳥周 如松庵双鳩 此杖・寛雪
常盤連 五雄 成雅 花吟 樵月 一枝
12‐09‐0152
東逕 無漏 一東 一雄
天保十一庚子天三月建之
@ 天保十一年(一八四〇)三月
A 日々房鳥周らの建立
C 鴨川市太海浜 仁右衛門島
F 12034
花の香( )
雲 折 ・ ・ 人 を 休 む る 月 見 哉 芭蕉翁
飛( )雪( )
左 弘化二乙巳稔冬( )
@ 弘化二年(一八四五)冬
C 鴨川市曽呂 蓮華院
F 12035
花之本・詠
野 を 横 に 馬 引 む け よ ほ と ゝ き す
明治十九季首夏/大田代連
@ 明治十九年(一八八六)六月
A 大田代連中建立
C 鴨川市大田代 石地蔵の前
F 12036
枯 芝 や ま た 陽 炎 の 一 二 寸 芭蕉
小絲連中
陰 冴わたる遠寺の鐘や冬の月 桂下坊
野を一里耳を離れぬ雲雀かな 蝶二
@ 天保年間=天保十四年(一八四三)
A 桂下坊 蝶二らの建立
C 君津市荻作 鹿野山旧参道
F 12037
最 中 の 桃 の な か よ り 初 さ く ら はせを翁
雪中庵□□
陰 寛政十戊午年きさらき/・枝 花嬌 風耳 一燈
@ 寛政十年(一七九八)二月
A ・枝らの建立
C 君津市鹿野山 新義真言宗智山派鹿野山神野寺
F 12038
や す ・ ・ と 出 て い さ よ ふ 月 の 雲 翁
梧堂書
碑面左下方 銘文あり(略)
12‐10‐0153
天保十二辛丑乾月對・三澤平誌乂斎巖崎基書
陰 壺仙ら四十名の句と号がある(略)
@ 天保十二年(一八四一)
B 梧堂書
C 君津市鹿野山 新義真言宗智山派鹿野山神野寺
D 碑面下部に芭蕉肖像の線刻があったらしい
J 12039
初 雪 や 聖 小 憎 の 笈 の 色 芭蕉
群 鴉 鐘 聲 白 月 淡 し 山 の 春 壽雄
雛 僧 の 衣 に 梅 の 白 さ 哉 正一
陰 昭和七壬申睦月下浣文学士旭壽雄建之/坊内雪柳書
@ 昭和七年(一九三二)一月
A 旭壽雄建立
B 坊内雪柳筆
C 君津市鹿野山 新義真言宗智山派鹿野山神野寺
F 12040
☆存疑
ほ と ゝ き す 啼 や 黒 戸 の 濱 ひ さ し はせを
秋巖書
陰 助刻 呑海 補翼 等栽/可起守 幹雄/泰眠 乙彦
明治三年庚午五月
@ 明治三年(一八七〇)五月
B 秋巖筆
C 富津市青木 国道十六号線南側鞍馬社
D 等栽=鳥越氏 号桂峰園 大坂の人のち江戸住 淡叟門 明治二十三年(一
八九〇)十二月六日没八十八歳 幹雄=前出P.0088 乙彦=通称語一郎 幕
府小普請方森宗兵衛の次男 書家萩原秋巖の養子となり 萩原を名乗る 号
蔦の本・十時庵・蕉華庵 俳諧を道彦系の者に学び 明治元年には爲山に入
門 明治十九年(一八八六)二月二十八日甲州谷村に没六十一歳
F 12041
華 さ か り や ま は 日 こ ろ の 朝 ほ ら け
陰 動かねはうこかてすゝし椎の蔭/明月や光りこほるゝ松の露/幾とせも其名ゆかしや
初しくれ/明治十有七年春日 應需凉坪書
@ 明治十七年(一八八四)春
B 凉坪筆
C 東葛飾郡関宿町台町 実相寺
F 12042
觀 音 の 甍 見 や り つ 花 の 雲 はせを
陰 時鳥啼や印旛の藻苅舟 當寺住耕月/同 舎中
嘉永元申水無月
12‐11‐0154
@ 嘉永元年(一八四八)六月
A 耕月建立
C 印旛郡印旛村瀬戸 徳性院多聞寺
F 12043
こ の あ た り 目 に 見 ゆ る も の み な 凉 し はせを
陰 たま・・に錦も交る落葉哉 松月舎光東
明治三十五年四月一日撰者春秋庵幹雄 半香舎梅理
@ 明治三十五年(一九〇二)四月一日
C 印旛郡印旛村吉高 宗像神社
D 幹雄=前出P.0088
F 12044
☆存疑
蛙塚
この塚むかし正保の頃富井外記てふ人
ありて多くの蛙を埋めしと言傳ひぬ
蛙 子 は 目 す り 膾 を な く 音 か な はせを
陰 故半香舎一世此君園ら八名の蛙の句を刻み さらに五十七名の名あり(略)
明治廿五年四月十五日
@ 明治二十五年(一八九二)四月十五日
C 印旛郡印旛村 富井唯一氏宅
F 12045
原 中 や も の に も つ か す 啼 雲 雀 はせを
陰 聞やうて淋しくもなし荻の聲 四世半香舎東水
東水顕彰の漢文銘(略)
明治廿九年四月稻穗連建立
@ 明治二十九年(一八九六)四月
A 稻穗連建立
C 印旛郡本埜村長門屋 鳥見神社
F 12046
物 言 へ は 唇 さ ふ し 秋 の 風 はせを
碑面下部 春雨や野山の寂を洗ふほと 田叟
訪るゝ心はふかしゆきの友 美翠
松は松竹は竹なり月の影 淵柳
黒谷の岸に晴れけり今日の月 南山
岩抱いて千代經し松や風光る 鶴歩
足音に鯉躍りけりかきつはた 香淵
世のちりにしまぬ匂ひや露の玉 其兄
長閑さや乳に寢たる兒の愛らしさ 左彦
ほの・・と明けゝり雪の筑波山 可月
廣々と鐘の暮込む花野かな 砂白
靜さや水の音にもつゆの味 天民
12‐12‐0155
八十一翁葉田耕斎書
陰 昭和七年八月建立 久保田酉松石田岩治有坂政治郎菅沢逸/松田留吉根本香一郎郡司
藤一成毛彦太郎/郡司惣之助瀬尾忠治郎相川角太郎
@ 昭和七年(一九三二)八月
A 久保田酉松らの建立
B 葉田耕斎筆
C 香取郡下総町高 六地蔵堂
F 12047
觀 音 の 甍 見 や り つ 華 の 雲 はせを翁
陰 今日庵元夢門下/春日庵南道大竹白水建之/寛政五癸丑十月十二日
@ 寛政五年(一七九三)十月十二日
A 鈴木儀左衛門南道大竹白水建立
C 香取郡下総町滑川 天台宗滑川山龍生院
F 12048
ほ ろ ・ ・ と 山 吹 ち る や 瀧 の 音
陰 天保六未如月木つゝき庵社中催立
@ 天保六年(一八三五)二月
A 木つゝき庵社中建立
C 香取郡下総町中里 臨済宗楽満寺
J 12049
春 立 て ま た 九 日 の 野 山 か な 翁
名 月 は 罪 な き 人 の 鏡 か な 月杵
權大教正三森幹雄謹書時七十三・
陰 明治參拾四年四月十二日/印旛郡久住村幡谷/香取喜兵衞二世靜堂可嘯建之
@ 明治三十四年(一九〇一)四月十二日
A 香取喜兵衞二世靜堂可嘯建立
B 三森幹雄筆
C 香取郡下総町西大須賀四谷 兒明神
D 幹雄=前出P.0088
F 12050
刈 か け し 田 つ ら の 鶴 や さ と の 秋 芭蕉
陰 行秋や空のしつかや鷹一羽 茂蘭
( ) 既醉
・寛政六仲秋寅辰木啄庵連中合拜
@ 寛政六年(一七九四)八月
A 木啄庵連中建立
C 香取郡神崎町並木 神宮寺
D 茂蘭=諱は從 字は圜 雅号本種 初め滋蘭 号麻衣山人 江戸に生まれ
七歳で出家 のち北総岩部妙法山を領した日蓮宗の高僧 宗瑞門 安永八年
12‐13‐0156
(一七七九)九月八日没六十七歳
F 12051
時 雨 る ゝ や 田 の あ ら 株 の く ろ む ほ と 芭蕉
少教正三森幹雄謹書
碑面下部 四十名の句と号あり(略)
陰 五十名の句と号あり(略)
發起人權少講義須田美靜/明治廿年亥十月建之
@ 明治二十年(一八八七)十月
A 須田美靜建立
B 三森幹雄筆
C 香取郡小見川町大根塚 金刀比羅神社
D 幹雄=前出P.0088
F 12052
明 ほ の や 二 十 七 夜 も み か の 月 はせを
孫山書
陰 くらしとて人は居らす松の月 ・江
夕暮の川風寒し楳の花 間月
稻舟やさし寄て行摺火打 勝人
啼聲の夜に這入たり浜千鳥 黙知
川狩の跡や隈なき月のさす 晴峠
灯を出せは向のくらし鴨の聲 逸英
たつ鴨の霧に紛るゝ夜明かな 夜霞
いろ・・に山もかはるや秋の月 夜白
名月や橋桁ひたす潮かしら 催主笙々
補助町連中 川屋利兵衛
@ 文政年間=文政十二年(一八二九)
A 笙々建立
B 山口甫僊孫山俳号・江筆
C 香取郡小見川町北下宿 施天宮水神宮
F 12053
觀 音 の 甍 見 や り つ 花 の 雲 芭蕉翁
單山常書
陰 平等施一切
毛氈も乞食莚も散櫻
當山清水寺廿五世隱士台嶺沙門高讓海月斎如木
天 理
永き日や臼に成れとて植る松
多田邑俳行者東胤孝聲畫庵旭斎
明治十五年午三月芭蕉翁二百年遠忌取越建築之以傳不朽云
當山廿七世丈室良然代
陰下部 社中四十一名の俳号あり(略)
@ 明治十五年(一八八二)三月二百回忌
A 丈室良然建立
12‐14‐0157
B 單山常筆
C 香取郡小見川町虫幡 天台宗清水寺(子育観音)
F 12054
今 日 は か り 人 も と し よ れ 初 し く れ はせを翁
陰 芭蕉翁二百年遠忌/于時明治十五年十二月建之春城拜書
@ 明治十五年(一八八二)十二月二百回忌
B 石田春城筆
C 香取郡山田町山倉 真言宗観福寺
F 12055
此 の 道 や 行 人 な し に 秋 の 暮 芭蕉翁
畦舎書
陰 香樹舎蕉風以下三十数名の俳号あり(略)
昭和七年四月
@ 昭和七年(一九三二)四月
A 香樹舎蕉風建立
B 畦舎筆
C 香取郡山田町田部 西雲寺
F 12056
(篆額)花下大明神碑
木 の も と に 汁 も 膾 も さ く ら か な
陰 いく霜にたつやさくらのみや柱 古人仙華翁
年のよるほとおもしろき櫻かな 吉・庵萬丸
けふよりや花もにほひの常しなへ 麻衣山人梅守
左 十四行の漢文銘(略)
右 多数の俳人名(略)/明治二十二年己丑
@ 明治二十二年(一八八九)
C 香取郡栗源町沢 日蓮宗真浄寺
F 12057
ほ ろ ・ ・ と 山 吹 ち る か 瀧 の 音 はせを
陰 天保壬辰( )
翁( )
@ 天保三年(一八三二)
C 香取郡多古町船越 日蓮宗大立寺
F 12058
涅 槃 會 や 皺 手 合 す る 珠 數 の 音 はせを
陰 いさゝらはかねて望の秋の雲 晴軒南斗
弘化丁未十月建立連中筆子中
@ 弘化四年(一八四七)十月
C 香取郡多古町吹浦 永台寺
12‐15‐0158
F 12059
木 の も と に し る も 鱠 も 櫻 か な はせを
陰 野平一聲ら二十三名の名(略)
于時大正七年六月建之四世止々園雲堂書
@ 大正七年(一九一八)六月
B 止々園雲堂筆
C 香取郡多古町玉造 バス停「南玉造」招魂碑
F 12060
山 路 來 て 何 や ら ゆ か し す み れ 草 芭蕉
陰 隱語銘 白兎園一叟宗端居士
草に水うつ巻草をこかしつゝ/きみかつはさを二人して/一つうらなふその人の/な
とあらさらんことの葉を/くらへてもふすしめすとて/はりはかけすも其まゝに/此
日の本に霞わたらし/二代飛鳥園一叟營之
寛政八丙辰年十月十二日
@ 寛政八年(一七九六)十月十二日
A 二代飛鳥園一叟並木寂阿建立
C 香取郡多古町井戸山 大師堂(芋大師)
D はじめ寺作の土橋山東禅寺に建立 後に移す
宗瑞前出P.0107 一叟前出P.0149
F 12061
古 池 や 蛙 と ひ こ む 水 の 音 芭蕉
陰 氷らぬは氷らて寒し水の音 二世一叟
夕暮は麥に聲あれ鐘の雲 三世一叟
文政六年癸未彌生 日
國老黍堂建之
@ 文政六年(一八二三)三月
A 黍堂建立
C 香取郡多古町井戸山 大師堂(芋大師)
F 12062
雲 折 ・ ・ 人 を 休 む る 月 見 哉 はせを
陰 芋薫亭梅堂 秋陽・蘭香
千□ 雙烏 雲道 森月 肩・ 橘堂
山月 露松 白葉 聲々 有警 木斎
天保十二辛丑孟春
@ 天保十二年(一八四一)一月
A 芋薫亭梅堂 秋陽・蘭香らの建立
C 香取郡多古町南並木 道祖神
F 12063
☆存疑
(篆額)俳諧筆墳/大威徳天神
12‐16‐0159
こ ゝ も 三 河 む ら さ き 麥 の 杜 若 はせを
右建立伊藤椿跡 同一路/差添ら十一名の名(略)
陰 夕立や鳰の・もとる峯の月 亡師都本
月星の手にさはるまて田植かな 砂眠
薄もやゝ若葉に埋むかねの聲 雪轉
我植た椎にとしよる凉かな 一路
柴の戸を明くれは高し杜鵑 雪專舎椿跡
天保二辛卯年如月吉・日
@ 天保二年(一八三一)二月
A 伊藤椿跡 伊藤一路建立
C 香取郡干潟町万力 産土社
F 12064
古 池 や 蛙 飛 こ む 水 の 音
喜章修造
C 匝瑳郡光町石浜 岩澤慶三郎氏宅
F 12065
觀 音 の い ら か 見 や り つ は な の 雲 芭蕉
陰 區沙爾毛棄邇茂夜與比伎奴禮伐/西・以廼波留乃天廼登度久曾良
布太羅玖廼知半都地茂宇留保比/波奈左久古介也伊之爾差丘薄奈
文化七年庚午彌生十二日/北總舟越村飛鳥園一叟建之
@ 文化七年(一八一〇)三月十二日
A 飛鳥園三世貞翁一叟宇井佐富建立
C 山武郡芝山町芝山 天台宗天応山観音教寺
D 碑陰の読み=草にも木にも弥生来ぬらば世界の春の手の届く空 補陀落の地
は土も潤ひ花咲く苔や石に咲く花
F 12066
たかき屋にの御製の/有難を今も猶
叡 慮 に て 賑 ふ た み や 庭 か ま と はせを
碑面左端 名にしおはゝ名取草より・宮樂哉 金波
これを発句とする表十句あり(略)
陰 (篆額)無盡言
一四九名の名と起名庵金波の芭蕉景仰の漢文銘(略)
明治紀元戊辰晩冬
@ 明治元年(一八六八)十二月
A 起名庵金波一門建立
C 長生郡一宮町一宮宮台 玉前神社
F 12067
・翁二百年忌
草 い ろ ・ ・ 各 花 の 手 か ら か な はせを
癸巳八月 正六位岩佐爲春敬書
12‐17‐0160
@ 明治二十六年(一八九三)八月二百回忌
A 大多和其山建立
B 岩佐爲春筆
C 長生郡白子町関 玄徳寺
C 12068
☆句は存疑
芭 蕉 翁
五月雨に此笠森をさしもくさ
陰 元祿七年甲戌十月十二日/於難波卒葬義仲寺/安永六年丁酉十月十二日造立焉
台石 湖南義仲寺雲裏門弟當國當邑僧五老峯攷貝並門人
@ 安永六年(一七七七)十月十二日
A 五老峯攷貝建立
C 長生郡長南町笠森 笠森寺
F 12069
眼 に か ゝ る 時 や こ と さ ら 五 月 不 盡 翁
香楠居三木雄敬書
右 明治甲申仲夏起本吉蓮蕊 補幸保長兵衛
@ 明治十七年(一八八四)五月
A 本吉蓮蕊建立
B 三森幹雄筆
C 夷隅郡御宿町新町 浅間神社
D 幹雄=前出P.0088
F 12070
い さ と も に 穗 麥 く ら は む 草 枕 はせを
陰 朝々は柳にもとる心かな 金砂
建碑についての漢文銘(略)
天保己亥臘月
@ 天保十年(一八三九)十二月
A 日置久四郎金砂の妻桂紫建立
C 夷隅郡大原町下布施 日置清尚氏宅
C 12071
芭 蕉 翁
こからしに岩吹とかる杉間哉
陰 第一園里丸社中建之/・明 卜天 子賢 山花 斗行/自遊 一匡 子幹 山幹 山
暉/林之 二三 斯曉 想容 電水/門鯉 淵玄 梅仁 言々 泉玉/連ん女 桃林
・成 王子 菊雄/有得 暦鳥 若楓
文政九年丙戌十月十二日百三十二遠忌
左 東武田喜庵護物謹書
@ 文政九年(一八二六)十月十二日百三十二回忌
A 里丸社中建立
12‐18‐0161
B 田喜庵護物筆
C 夷隅郡岬町鴨根 清水寺
D 護物=谷川氏 号田喜庵 伊勢に生まれ江戸住 士朗・闌更のち道彦に学ぶ
弘化元年(一八四四)七月二十一日没七十三歳
F 12072
古 池 や か は つ 飛 こ む 水 の 音 芭蕉翁
伊藤松宇謹書
陰 月花のこゝろ捧けむ翁の日 松露庵楳竹
以下二十七名の句あり(略)
昭和三年十一月御大典の日建之
當山現住職井上章田
@ 昭和三年(一九二八)十一月十日
A 井上章田建立
B 伊藤松宇筆
C 夷隅郡岬町和泉 天台宗飯繩寺
F 12073
い さ ゝ ら は 雪 見 に 轉 ふ と こ ろ ま て はせを
陰 明治十・丁丑初冬建之
笠雲を富士はゝつして小春風 龜甲
@ 明治十年(一八七七)十月
A 鈴木勘兵衛龜甲建立
C 安房郡鋸南町大崩 西根の不動尊堂への入口
F 12074
あ の 雲 は 稻 妻 を 待 た よ り か な はせを
陰 □□□□仲秋 □壺 □雄 □斎
宇明 □□ □□
@ 天保四年(一八三三)八月推定
C 安房郡白浜町白浜 巖島神社
D 建立年月日は井上脩之介氏が杉長の墓碑から推定
F 12075
あ の 雲 は 稻 妻 を 待 た よ り か な
陰 明治十九年五月再建
七十七翁豹隱應需書
@ 明治十九年(一八八六)五月再建
B 豹隱筆
C 安房郡白浜町白浜 巖島神社
F 12076
あ の 雲 は 稲 妻 を ま つ た よ り か な はせを
小柴竹園書
左 贈埼玉県蕨市石勘石材店
12‐19‐0162
@ 昭和四十四年(一九六九)
A 石勘石材店奉納
B 小柴竹園筆
C 安房郡白浜町白浜 巖島神社
F 12077
鐘 つ か ぬ 里 は 何 を か 春 の く れ 芭蕉翁
@ 文化六年(一八〇九)
A 勝山在の盲俳人呂風建立
C 安房郡丸山町大井 大徳院